この本は、序章から「末期がん患者はモルヒネ投与で死期が早まる。しかし楽にしてあげるならそれしかない―本当か?」という問いから始まっています
終末期医療の現場で起きていることが、きちんと書かれています
私たちが知っている医療現場は病気で病院にかかっている人以外は、ほとんどが「人の感想」のような気がします。「OO病院の評判」という、ある特定の人の感想をさもそれが全てのように話したことを、そのまま受け止めているような事があります
ある病院のことを「あの病院に入ったら、もう帰ってこれないのよね」と誰かに聞いたとします
それを聞いた人は「そうか、そんなに危ない病院なんだ」と思う人がほとんどだと思います
でも、それを聞いた医療現場を理解している人なら「ホスピスがあるんだ」と考えます
それくらい大きな差がある気がしました
本の内容は、
第1章
臨終では、ドラマのように、愛する人の名前を読んだ後、がくっと死ぬ―本当か?
第2章
望まぬ延命治療をされているのは一部の人間で、事前の意思表示をしておけば絶対に大丈夫―本当か?
第3章
抗がん剤は最後までし続けたほうが命が延びる。あるいは逆に、抗がん剤は苦しいだけ―本当か?
第4章
がん患者が一番かわいそうである。がんにだけはなりたくない―本当か?
第5章
悪いのは不真面目な医師である。医者がちゃんとすれば医療は変わる―本当か?
終章
望んだ終わりへ
「おわりに」のところで、ある患者さんの死から学んだことが書かれていました
彼の最期は、全ての患者さんの理想とも言えるものでした
・・・彼のすごいところは、全てにおいて、自分がどうしたいか、そのビジョンを持っていたところでだった。そしてそれを実現するための情報を自ら、あるいは医療者から集めて、その情報をもとに考え、その結果生まれた希望を医療者に伝え、望む結末が用意された。
話を聞けば、終末期のみならず、抗がん剤治療を受けている頃から彼はそうだったという。
「まず自分がそうしたいのか?」、それを常に明らかにして、彼は行動してきた。
「根治の可能性がなくても、最後までがんと闘うのか」
「根治の可能性がなくても、できる限りの治療を行うのか」
「根治の可能性がなかったら、一切の治療はいらないのか」
「緩和医療は行うのか否か」・・・・・・・本文抜粋。
これを読んで思ったのは「これって当たり前じゃないのかな」という事でした
でも、これをきちんと考える事は「自分の死を見つめること」だと思います
それって、やっぱりつらいと思う
そして、私のようにだんなも子どももいない人間は、自分のビジョンを貫くことができるかも知れないけれど、子どもやだんながいる人。また、その人が「1日でも長く生きていて欲しい」と望んでいる人なら、またその最後は変化していくのだろうし・・・
でも最期を自分らしく迎えることは「自分らしく生きる」ことと同じくらい大切なことだと思います
それには私であれば、親や医療者に自分の望む死をきちんと伝えることが大切なのかなって思います
「人は必ず死にます。致死率100%です」と言った医師がいます
生きる事も死ぬことも受け入れていかなくてはいけないんだなって思う私でした