「病」を包む、お見舞い言葉
第1章・・・お見舞いに行く
「今、大丈夫?」
「どうなの?」
「これ使って・・・」
第2章・・・患者さんと話す
「何か気になっていることはある?」
「最近、どんなことを考えている?」
「頑張ってね」
「手術のことを聞いていい?」
「主治医に話してみませんか?」
「いい患者にならなくていいのよ」
「ごめんね、寂しくさせちゃったね」
「あなたは、どうしたい?」
第3章・・・長い入院生活の人に
「これからの時間をどう生きましょうか?」
「あなたの存在は大きい」
「何でも言っていいのよ」
「あなたと出逢えてよかった」
「つらいね」「よしよし、わかるよ」
「どんな人生でした?」
第4章・・・終末期の患者さんへ
「死ぬことを考えることはある?」
「命は預かりもの」
「最後まで自分を見捨てないで」
「しのいでね」
「死ぬ時は、一人ではないのよ」
「あなたは、赦されています」
「性欲を感じることはない?」
「死ぬことの話をしましょうか?」
「誰か会いたい人はいますか?」
「誰か会いたい人はいますか?」
「話が出来なくなってもいいですか?」
第5章・・・注意が必要な言葉
「元気そうですね」
「もう落ち着かれましたか?」
「一日も早く、元気になられますように」
「私はこうして治しました」
「さぞ、ご心配でしょう?」
第6章・・・遺族に向けて
「たくさん思い出してください」
「喪の仕事をしていますか?」
「一人で逝っていないから、安心してね」
「気がすむまで泣いていいんですよ」
これだけ読んだだけでも「うんうん、わかるわかる」と思うことがあります
特に第5章の注意が必要な言葉は、私も言われて嫌な気持ちになった言葉です
「元気そうで」と言われると「そうでもないんだけど・・・」と思うと同時に
私がもっと重症で、呼吸器とか点滴とかしてるほうがよかったのかな・・・なんて考え込んでたりします。相手はそんなつもりもなく素直に喜んでくれているとわかっているのに複雑な気持ちになる言葉です
「私はこうして治しました」や「わたしの知り合いはこうやってよくなりました」も、あなたと私の状態は違うし、そもそもどういう状態かも知らないのにそんな風に言われても・・・と思っていました。誰かと比較する言葉って、患者本人をきちんと見ていない気がするのであまり気持ちのいい言葉ではないなって思います
でもこの言葉は、退院後の患者さんやアドバイスを必要としている患者さんにかけると勇気を与えてあげれる言葉だと思います
「さぞ、ご心配でしょう?」という言葉は、患者の家族に向けられた言葉です
患者は「自分が家族の重荷になっているんじゃないか」と思っています
そういう時に聞いてしまうと「ああ、やっぱり・・・」と感じてしまいます
私が入院している時に、従姉妹が私の世話をしに来てくれました
その時、従姉妹が「お母さんが『すももの望むことだけしてあげ』って言ってたわ」という事でした。ついついお見舞いに行くと「あれもこれもしてあげなきゃ」と考えがちですが、案外、患者が望んでいないことまでやってあげて、実は患者の負担になっていることもあります
私は手術後、腹筋が全く使えなかったのでしゃがむ事も手を伸ばすこともできませんでした
あとは、右側にしか寝返りが打てなくて、左側にテレビがあったのでそれをみるのも難しかったです
その後、同室の人から頭の向きを変えてみたらいいよ。と教えてもらって、やっとテレビが見れるようになりました
そんな私だったので、引き出しを開けるのも足でやっていたしタオルを出すのも足を使っていました。そんな状態だったので、病室のベットの引き出しの使える場所も決まっていました。ほとんどが使っていない引き出しや戸棚だったので、従姉妹も「ここの引き出し開いてるから入れるよ」と言って入れてくれました
そんな時に「そこは使えないから入れないで」と言うのは、結構、しんどいものです
しかも、自分が入れていないから必要な時に探さないといけないし、体調が悪い時にそれをやらなくてはいけないのは、本当に大変でした
従姉妹は「そこはあかん」と言うと「そっか、わかった」と言って「お母さんが言った意味がよくわかったわ」と言ってくれました
難しいけれど、何もしないで一緒にいるだけでいい。ということもあると思います
友達のお母さんが入院した時に、手術後すぐで何にもできなかった私は、ずっとお母さんの手を擦っていました。別れる前にお母さんが自分のお腹の傷跡を見せてくれて「私の傷跡はもうほとんどわからなくなっているから、あなたも大丈夫」と言ってくれました(私が母に傷跡を見せて、「こんなになってもた」と言ったのを覚えていてくれたんだと思います)
「もう会えないかもしれない」という言葉が、現実になってしまったけれど色々なことを話せたのでよかったと思いました。自分から何も話さなくても、何もできなくても患者さんの話を聞いてあげるだけでもいいんじゃないかなって思います。
そして、以前「褒めるという事は誰かと比べるのではなく、その人だけを見て褒めるのが大切」というのを聞いたことがあります
話をする時に、つい無意識に人と比べていることがあります
「自分と比べて」「友達と比べて」「他の患者さんと比べて」・・・
病気の時は、患者さんだけを見てあげる。っていうのが大切なのかもしれないですね