Dr.中川のがんの時代を暮らす

すもも

2011年11月08日 00:00



Dr.中川のがんの時代を暮らす:/13 見直し進む食の安全基準

 内部被ばくの恐怖が収まりません。お母さん方の心中を思うと、僕もつらい気持ちになります。ただし、半減期30年のセシウム137を摂取しても排せつによって、子供は数週間、大人も約3カ月で体内の量自体が半減します。

 実際、福島の住民を対象とした検査の結果、セシウムによる内部被ばくも、危惧されたレベルではないことが明らかになりつつあります。9月末までに検査をした福島県民4463人の内部被ばく量は、生涯で約3ミリシーベルトと推定される2人の値が最大でした。そのほか、8人が2ミリシーベルト、6人で1ミリシーベルト、残りの4447人は1ミリシーベルト未満でした。いずれもがんが増えるレベルではなく、ほっとしました。

 チェルノブイリでは、事故の公表と食品規制が遅れたため、放射性ヨウ素による小児甲状腺がんが増えましたが、放射性セシウムが直接原因となった発がんの増加は、これまでのところ確認されていません。チェルノブイリと比べて、福島での被ばく量は少ないので、福島では放射性物質が直接原因となるがんは、どんながんでも増えないだろうと思います。

 さらに、セシウムによる内部被ばくにつながる食品の放射性物質について、安全基準がさらに厳しくなります。小宮山洋子厚生労働相は10月28日、「年5ミリシーベルト」としている放射性セシウムの暫定上限を「年1ミリシーベルト」に引き下げる方針を明らかにしました。

 これは、内閣府の食品安全委員会が、食品から受ける被ばくについて、放射線による健康への影響が見いだされるのは「生涯の累積線量が100ミリシーベルト」とする評価書を出したことを受けたものです。

 食品安全委員会の議論には、僕も、専門参考人として参加しました。100歳まで生きる人を想定すると、「生涯100ミリシーベルト未満」を目指すためには食品からの被ばくの上限は年1ミリシーベルトになります。例えば、野菜の現在の暫定規制値は1キロあたり500ベクレルですが、単純に5分の1にするならば100ベクレルが上限になります。これは、米国の基準の12分の1に相当し、生産者にとっては非常に厳しい数字となります。一方、この見直しによって、内部被ばくの心配はさらに少なくなりますから、国民の安心は広がるはずです。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

毎日新聞 2011年11月6日 東京朝刊

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最近、毎日のように「セシウムが・・・」というニュースが流れています
「どこにいても安全なんてないんだな」と思う日々です
私は、治療でも放射線を受けているので「もし癌になっても、すでに体験者の私じゃな・・・」
なんて思ってますが、小さいお子さんがいるお母さんや
妊婦さんは「どうしたらいいの・・・」と不安になる一方だと思います

不安をあおる専門家も多いような気もしますが、中川先生は医師の立場から
放射線の安全性を発信されています。
といっても「不安がないわけではない」と思います
でも「大丈夫だよ」と、きちんとした知識を持った人から言ってもらえるって安心できますよね

そして放射線だけからではなくても、現在は2人に1人は「がんになっている時代」なのだと
正しい知識で「がん」を受け止めて欲しいと思います

Dr.中川のがんの時代・・・はこちらから読めます:
http://mainichi.jp/select/science/news/20111106ddm013070007000c.html?inb=yt

写真は、イチゴミルクウミウシです。あまりに綺麗な配色なので載せてみました

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