「子どもを傷つける親 癒す親」・・・3

すもも

2012年11月08日 00:00



「子どもを傷つける親 癒す親―シスター鈴木秀子の親と子の愛の絆12のステージ

問題は子どもにではなく、心配し、不安を抱える親にある。まず、親である自分が変わること。本の中の様々な事例が、自分の問題に気づき、子どもに対する考え方、対応の仕方を変えさせ、愛を深める助けとなる。・・・・

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母親は子どもが苦労をしないで、思う通りに人生を歩んで、いいことばかりあってほしいと思いがちです。
それは自然の願いで、誰でも人間の深いところにある願いです。
その欲は一生の間ついて回ります。
大切なことはそういう欲を自分にあることに目覚めること、その欲の振り回されないこと、それが、親の力になっていきます。

親がその欲に振り回されて、子どもが楽なように楽なように、苦労しないようにと計らい過ぎると、子どもはわがままになり、甘え過ぎ、ひ弱になっていきます。
辛いことがあると、自分の感情を抑えることができなくて、すぐに爆発したり、駄々をこねたり、勝手気ままをして、自分の欲望のままに走ろうとします。

親は、人間が思い通りにいきていくことができない現実をしっかりと把握し、人間が成長するためには、苦しいこと、失敗すること、恥しい思いをすること、負けること、かっこ悪い体験をすることが大切であることを心に刻んでおく必要があります。
子どもがそういう体験をすると、おろおろするのは子どもよりも親のほうです。親は子どもになるべくそういうようなことをさせまいとします。
そういう親の思いの囲いの中の子どもたちは、この現実にしっかりと根を張ることができません。

親が子どもにしてあげられることは、思い通りにならない苦しいこと、辛いこと、負けてしまったり、恥をさらしたり、かっこが悪かったり、お友達とうまく付き合えなかったり、先生に叱られたり、勉強ができなかったり、スポーツで成績が上がらなかったり、そのようなあらゆることや自分にとって思わしくないこと、それも人生の一部だと、親がしっかりと受けとめることです。
平然と腹を据えて、それを受けとめる度量の大きさが必要です。

思い通りにいかなくても、それは当たり前のことだと受けとめた上で、子どもにそういう辛い苦しい出来事にたいしてどういう見方をするのか、辛いからと言って、それでお終いというわけではない、起こってくる出来事に対してどういう見方をし、これからその経験をどのように活かしていくかによって将来が違ってくる、いまが常に出発点であって、起こったこと、体験したことは、皆そこから学ぶために与えられている貴重な出来事なのだということを、親が手本として教えてあげる必要があります。

そのためには、親自身そういう生き方を常に心がけて築いていく必要があるわけです。
楽をして、かっこよくて、すべてが思う通りにになるという人生が幸せでしょうか。
もしもそういう日が毎日続いたとしたら、その人たちの後にどういうことが待ち受けているでしょうか。
それは虚しさです。なぜなら人間の本性は努力して、一生懸命がんばって、何かを達成する喜びや充実感などによって支えられているからです。
親よりも、子どもは長い人生を生きていきます。
親の後に長い現実を生きていきます。子どもたちがこれから生きる世界がいまと同じということはあり得ないでしょう。
新しい局面にぶつかり、子どもが苦労しながらも、自分にとって相応しいもの、自分も周りも活かす、そういったものを選択する力を養いながら、苦しみを乗り越えて、その向こうに達成感、充足感、生きているという実感を味わう力を育ててあげること。
それが子どもに残してあげられる親の最大の遺産です。

辛いとき、思う通りにいかないときに、じっとがまんする。そういう出来事も決して無駄ではなく、失敗しても、その行為と人格はまったく違うものであり、人格はどういう行為があったにしても、決してその尊さは損なわれない。その尊さに相応しいように生き直すこと。その失敗はいまからどのように生きるかによって、いくらでも償えること。償いだけではなく、むしろ大きな恵みとして受けとめられるようなものに変えていくことができること。

親はそれを自分で理解して、教え、支えてあげる必要があります。
失敗にも耐えていく力を育てることが大切です。
負ける訓練は人生を強くします。負けることは決して悪いことではありません。それに耐えて立ち上がっていく力が鍛えられます。

負けることを知っている人は優しい人です。優しい人というのは自分の中にしっかりしたものを持っています。ですから、外に優しくなれます。

失敗してもそこで挫けてしまわない、どんな人生の荒波にも、屈辱にさえも、その波の中にくずおれてしまわないで、まっすぐに自分の目指す方向に自分らしさを発揮しながら生きていく力。そういうものを子ども時代、青少年時代に身につけておくことが大切です。

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「当たり前」なのかも知れないけれど、難しい言葉です


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