プラモデルの『しんかい6500』を買いました
「しんかい6500」は、水深6,500mまで潜ることができる潜水調査船です。現在運航中の有人潜水調査船のなかで、世界で一番深く潜ることができます。 1990年に完成し、日本近海に限らず、太平洋、大西洋、インド洋等で、海底の地形や地質、深海生物などの調査を行い、2007年には通算1000回目の潜航を達成しました。
~JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)のHPより~
マニアックな人みたいですが、ちょっと特別な理由があります
以前、派遣で働いていたY電機さんでM電機さんから再就職で来ていたおじさんがいました。
最初のうちはあまり話した事がなかったけど、同じ関西出身だった事。
おじさんの長崎に住んでいたという話に、私が長崎に1人旅に行って『いつか長崎に住みたいと思ってる』など話をして、いつの間にか『いい飲み友達』になってました
おじさんは家から通えるからと京都大学に行くような人で、M電機では『飛行機でもロケットでも船でも、好きなところで働いてくれ』と言われた時に『船』と言ったと教えてくれた
私が『なんでこの場合、船はないやろ』と言ったら『ロケットは何故とぶかわかる。でも、飛んでしまったら何もできない』って言って『飛行機はなぜ飛んでるかわからん、あれは偶然や』と言って『船だけが、なぜ浮いてどうやったら助かるかがわかる』と選んだ理由を教えてくれました
そのおじさんは、M電機の後で、JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)で働いていて私に『すももさん、きっと好きそうだから』と、しんかい6500を教えてくれました
しんかい2000は知っていたけれど6500って、いきなりのバージョンUPやん。とか言いながら、GWだけに一般公開されるから行っておいで。と言ってくれました
Y電機さんは、マレーシアの仕事で、技術者のほとんどが外国人で、日本人も当たり前だけど会話は英語でした
そんな中で、しっかり日本語、しかも関西弁の私は英語も話せないのに働いていました
最後はマレーシア人に『すももさん、OKか?』と聞かれていました
(どうやら日本語に「か?」とつけると疑問形になるとどこかで仕入れてきたようです)
『はいはいOKやで』なんて笑える会話だったけど、イスラム教徒のラマダンがあったりヒンドゥー教のインド人の食べ物など、色々な意味で文化の違う外国人と仕事をする大変さを理解しました
そして「なんなんよ」と関西弁でキレる私に、おじさんが『まあまあ』と言って飲みに行く。なんて構図が出来上がってました
日本での仕事が完了したので、日本での勤務のみだった私は契約終了になり、後は日本人スタッフもマレーシアで。という時も『行きたくない』というおじさんが『すももさんが一緒なら楽しいから行きたいけど、行きたくない』と言っていたので、私が『帰ってきたら飲みに行こうね』と約束していました
でも、ある朝、泣きながら奥さんから電話がかかってきて、おじさんが『亡くなった』と聞きました
私以外に、連絡先を知っている人がいなかったから…と、そして、家で楽しそうに私の話をしていたから、名前を覚えていて、とっさに電話したと言ってくれました
飲ん兵衛だったおじさんは、亡くなる前にも飲んで帰ったらしい
そして自分の駅で降りて家に着く少し前で倒れたらしく、そのまま救急車で運ばれたそうです
心筋梗塞でした
マレーシアにいる時に何度か胸が痛くなっていたらしいけど『自分は死なない気がするんや』が口癖だったおじさんは帰国したら検査を受けるはずが、受ける前に亡くなってしまいました
結局、私との約束も果たせなかったな…と思った
おじさんの飲み友達の多い私の中でも、特におもしろい『飲み友達』でした
もう少し長生きして欲しかったな~~
そして、亡くなった時に私の夢枕に立って、娘さんの心配をしていた人でした
まだ『しんかい6500』は見に行けてないけど、プラモデルは手に入れたからね
いつか行ってみたいなって思っています
JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構):
http://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/ships/shinkai6500.html