「生命は」・・・吉野弘

すもも

2012年10月23日 00:00



「生命は」
      吉野 弘
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光をまとって飛んできている

私も  あるとき
誰かのための虻(あぶ)だったろう

あなたも  あるとき
私のための風だったかもしれない

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春になると養蜂家さんから貸し出されたミツバチ達が受粉をするために畑に放されます
そのミツバチの蜜を私たちが食べます

でも、そんなミツバチがいなくなった場所が中国にあるそうです

そこでは、集めた花粉を瓶に入れ、ニワトリの羽根とタバコのフィルターで作ったブラシを使って
人間が受粉させるそうです

人間も地球の中でみれば生命の1つでしかない

それを忘れてしまうと、当たり前の事が当たり前でなくなる時がくるのかも知れないですね

ミツバチの不吉な「過労死」症候群:
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2009/05/post-109.php

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