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ロハスメディカル~抗がん剤なぜ効くのか1~

ロハスメディカル~抗がん剤なぜ効くのか1~

病院内に設置されている無料の小冊子のロハスメディカル9月号の特集が
『抗がん剤、なぜ効くのか2』でした
2ということは1があったんだ。と思い、ネットで検索してみました
9月号の特集は「ホルモン由来性のがん」についてでした

抗がん剤は『効く・効かない』というのは医師によっても様々な意見があります
抗がん剤を真正面から批判されている医師もいらっしゃいます
ただ、遠隔転移をしていても抗がん剤で生還されている患者さんもいるので
患者はそれを信じて辛い治療でも受けているのだと思います
なので私自身は抗がん剤は効くと信じていたいです

そして、健康だとなかなか病院に行くことがないかもしれませんが
もしも機会があれば、お金も出さずに正しい医療情報が手に入る冊子は
ぜひ手にとってみてください

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がん特集、今回からいよいよ積極治療の内容に入ります。まずは抗がん剤。なかでも「細胞毒」と呼ばれる主流タイプのものについて見ていきます。何がどう「毒」なのか――がんを封じ込める戦略にも色々あるんです。
監修/畠清彦 がん研究会有明病院化学療法科部長

がんといえば手術、そんなイメージを抱いている人も多いはずです。
しかし5月号でも申し上げたとおり、手術でエイヤっと丸ごと切り取ってしまえるのは、根治が望めるような、早期かつ原発部位に留まっている固形がんの場合のみです。
 白血病など全身性のがんや、固形がんでも血管やリンパ管を通じてがん細胞が全身へ回ってしまっている遠隔転移の場合、再発などの場合には、全身治療の抗がん剤投与で敵の細胞を減らす戦術を取ります。手術を選択できた場合でも、術前にがんを小さくすることを目的に抗がん剤を使用したり、術後の病理結果によっては再発防止のために化学療法を行うことも多いのです。放射線治療の効果を高めるために抗がん剤を併用することも珍しくありません。
 ですから、抗がん剤とその治療については、がんと診断された人なら誰しも知っておいた方がよさそうだというわけです。


細胞毒 何をどうする?
 現在のところ世に出ている抗がん剤のほとんどは、いわゆる「細胞毒」といわれるものです。
 細胞が分裂する全過程あるいは特定の時期に投入され、細胞内の遺伝子に作用します。というのも、がん細胞は正常細胞よりはるかに急速に増殖・分裂するのが一般的で、分裂中の細胞では遺伝子のDNAがほどけてむき出しになっているため、不安定で外からの影響を受けやすい状態にあるからです。早い話、細胞分裂中の細胞は通常時より死にやすいのです。
 いきなり細胞分裂の話になってしまいましたが、細胞が分裂・増殖を繰り返していることは、皆さん学生時代に習ったかと思います。少々おさらいにお付き合いください。
 細胞分裂は大きく二つの段階に分けられます。前半は、染色体の複製です。染色体が担っている遺伝情報をそっくりそのまま、分裂してできる娘細胞に伝えるためです。染色体の実体はDNAという物質で(詳しくは2011年1月号「ゲノムきほんのき1」参照)、この時、DNAの量も染色体の数も倍になっています。そして後半では、倍になった染色体が「紡錘体」と呼ばれる細胞器官の働きによって正確に半分ずつ、細胞の両端に分けられます。そういえば教科書にそんな図が出ていましたよね。続いて細胞そのものが二つに分かれ、親細胞と全く同じDNAを持った娘細胞が二つ生まれるのです。

がん封じ込め 作戦あれこれ。
 抗がん剤が、がん細胞に働きかける道筋(作用機序)には、いくつかのパターンがあり、現在100種類ほど使われている抗がん剤をグループ分けすることができます。代表的なものは、①アルキル化薬②代謝拮抗薬③白金製剤④トポイソメラーゼ阻害剤⑤抗がん性抗生物質⑥微小管作用薬といったところです。駆け足でご紹介していきます。

① アルキル化薬
 抗がん剤の中では最も早く開発されました。マスタードガスという毒ガス兵器の研究の産物という、禍転じて福となったような薬です。体内に投与されると、DNAに炭化水素基(アルキル基)をくっつけて結合します。そうしてニ本鎖のはずのDNAを一本鎖にしたり、二本鎖をほどけなくしてDNA複製を妨げ、がん細胞を破壊するのです。代表例は、世界中で最もよく使われている抗がん剤のシクロホスファミド(エンドキサン)。乳がんや肉腫はじめ、ほとんどのがんで使われます。ブスルファンも白血病等に対する造血幹細胞移植などによく用いられます。
② 代謝拮抗薬
 この薬剤の多くは、構造がDNAの材料(基質)と似ているのが特徴。そのためDNA複製に働く酵素が勘違いしてそちらに働きかけ、結果として複製が妨げられたり、あるいはそのまま取り込まれて異常なDNAを作ったりします。がん細胞の分裂は失敗し、腫瘍が大きくならないどころか、時には小さくもなります。国内外で最も使用頻度が高いのは5-フルオロウラシル(5-FU)で、消化器がんをはじめ様々ながんに用いられます。
 DNA複製に必要な葉酸の代謝を阻害することでDNA複製を妨げるものも、代謝拮抗薬の中に含まれます。代表は「葉酸代謝拮抗薬」のペメトレキセド(アリムタ)。肺がん治療になくてはなりません。
③ 白金製剤
 その名のとおり、薬の構造中に白金(プラチナ)が含まれています。投与されるとDNAの二本鎖に白金が結合して橋をかけ、複製を阻害し、結果としてがん細胞を自滅させます。代表例はシスプラチン(CDDP)、カルボプラチン。大腸がんなどには第三世代の白金製剤、オキサリプラチンが多用されています。
④ トポイソメラーゼ阻害剤
 トポイソメラーゼ阻害剤は、細胞分裂の際にDNAの切断と再結合を助けるトポイソメラーゼという酵素の働きを妨げて、切断部位に入り込み再結合を阻止します。DNAが切断されたままの状態となり、がん細胞は死滅します。代表例はイリノテカンやエトポシドといったところ、様々ながんに使われます。
⑤ 抗がん性抗生物質
 抗生物質は土壌に含まれる微生物から作られたものです。一般的な抗生物質が細菌を死滅させるのはご存じですよね。それと同じように、がん細胞を死滅させる抗生物質がこの薬剤です。作用の仕方には色々ありますが、たいていは、がん細胞のDNA合成を阻害したり、DNA鎖を切断するなどしてがん細胞を直接的に死に追いやります。よく使われるものとしては、ブレオマイシンやドキソルビシン(アドリアシン)等が挙げられます。
 さて、ここまでの5種類は、働き方はそれぞれでも、狙う相手はすべてDNAです。それに対し、次のグループはちょっと違います。
⑥ 微小管作用薬
 「微小管」は、先ほどおさらいした細胞分裂で染色体の分離に働く「紡錘体」を作っているもの。つまり「微小管作用薬」は微小管に結合して紡錘体の働きを阻害し、細胞分裂を妨げて細胞を自滅させるものです。代表薬にビンクリスチンやパクリタキセル(タキソール)があります。

一気にたたくか、じっくりいくか
 抗がん剤の作用機序の違いによって、投与の仕方にも違いが出てきます。
 アルキル化薬と抗がん性抗生物質は「濃度依存性」の抗がん剤と言われ、がん細胞との接触時間は短くても、濃度が一定以上あれば効力が得られることが分かっています。マイトマイシンCなど、1回の点滴が30分程度で済むものだと、外来治療にも便利です。
 一方、代謝拮抗薬やトポイソメラーゼ阻害剤、微小管作用薬は、「時間依存性」の抗がん剤と言われ、低容量を長期間あるいは何度も投与することになります。というのも、これらの薬剤は細胞分裂周期の特定の時期に効果を発揮するのですが、すべてのがん細胞の周期が一致しているはずはありません。そこで薬剤を長時間、体内に存在させることが重要になるのです。

進行抑制をめざして。
 現在、抗がん薬で完治する可能性のあるがんとして、小児の急性リンパ性白血病(5年生存率70%以上)、精巣がん(同60%以上)、悪性リンパ腫(非ホジキン型、40~60%)絨毛がん(必要に応じて手術も併用。ほぼ100%)などの報告があります。
 ただ、抗がん薬のみで根治できるがんの割合はまだ小さく、進行を遅らせるということが抗がん剤治療の主な目的になります。それが期待できるがんには、乳がん、卵巣がん、骨髄腫、腎がん、慢性骨髄性白血病など、色々あります。一方で、脳腫瘍、黒色腫、膵がん、肝がんなどには、残念ながら今のところ効果を期待できる薬が出ていません。
 また、進行を遅らせてくれる抗がん剤も、永遠に効くわけではなく、いつか効かなくなる日が来ます。「がんが薬剤耐性」を持つと言います。
 ある抗がん剤を使い続けていると、がん細胞自身が身を守るため抗酸化や解毒に関する遺伝子を発現させ、その薬の働きを抑える物質が細胞内に作られるようになるのです。がんに限らず、細菌に対する抗生物質や、農作物への害虫に対する農薬でも、同じようなことが起きるのをご存じかもしれません。
 抗がん剤治療を受けている人にとって、耐性が出てくるかこないかは非常に大きな問題です。抗がん剤治療を中止せざるを得ない最大の原因と言ってもよいでしょう。逆に、耐性が出現せずに体に負担が少ない抗がん剤治療を続けられるとしたら、かなり長く、がんと共存して生き続けることができます。薬剤耐性の詳しいメカニズムの分かっていない抗がん剤がほとんどですが、今後の研究に期待したいところです。

異なる機序を上手に組み合わせ
 がんの種類によって比較的よく効く薬とそうでない薬があり、また後述する副作用の出方も異なります。そのため作用機序の異なる薬を組み合わせることで、最小の副作用で最大の効果を得ようと、二つ以上の抗がん薬を組み合わせて使うことも多くなっています。「多剤併用療法」と呼ばれます。
 例えば、肺がんには通常、白金製剤と他の種類の抗がん剤を組み合わせる併用療法が勧められます。また、増殖スピードが速くて不治の病のイメージが強かった小児がんも、20~30年前に比べて多剤併用療法が進歩した今では、約8割が治るようになっています。
 また、ある機序の薬に耐性が出てしまった場合も、異なる機序の薬に切り替えることで治療を継続できることがあります。
 投与の計画については、その時その時ごとに使う薬を選んでいくのでなく、あらかじめ長期的に決められ、それに従って行うようになっています。その計画を紙面に示したものをクリティカルパスと呼びます。薬の分量は多くの場合、体表面積あたりで決まっていて、患者さんの体重と身長から割り出します。

効果と副作用は、常に一緒に考える。
 抗がん剤は飲み薬よりも、注射や点滴が多いのですが、これは適切な量をきっちり血中に投与するため。少なすぎると効かず、多すぎると有害で、その許容幅が狭いか、効くより先に有害となるからです。飲み薬だと人によって消化管での吸収率が違い、血中の濃度が違ってしまいます。そこで静脈注射等で全身に行き渡らせるのです。
 抗がん剤は、急速に分裂・増殖するがん細胞がよりダメージを受けるのを利用しています。ところが正常細胞でも消化管の粘膜細胞や、骨髄細胞(造血細胞)、毛包細胞などは分裂・増殖が盛んで即ダメージを受けます。このため、吐き気(悪心)や嘔吐、口内炎、胃腸障害、脱毛、貧血、免疫力低下といった副作用が起きます。
 消化管の粘膜細胞の場合、口内の粘膜がやられれば口内炎になり、胃腸の粘膜がやられると胃腸障害が出ます。同じように骨髄が破壊されると、赤血球の合成に支障が出て貧血になります。また、白血球やリンパ球が減少して免疫力が低下したり、血小板が減少して出血しやすくなります。これらは「血液毒性」とか「骨髄抑制」とも呼ばれます。さらに、毛包細胞がやられると毛が抜けます。なお、吐き気や嘔吐の仕組みは、実はまだよく分かっていません。
 こうした副作用が強すぎて、がんをたたけるほどの量の抗がん剤を投与できないことも多いのです。加えて、DNAを傷付けて正常細胞をがん化させてしまう可能性さえあります。
 しかし、最近では抗がん剤治療の副作用をかなり軽減できるようにもなってきました。例えば、吐き気に対しては制吐薬、白血球減少に対しては「顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)」という薬が使われたりします。免疫力が落ちて感染症の心配がある場合は、予防に抗生物質を使ったり、症状に応じて輸血や血小板輸血も施されます。副作用軽減を目的とした多剤併用も多く行われています。
 医療者側の意識も昔とはだいぶ変わりました。「副作用はつきものだから我慢してもらうしかない」という考えから、今では「患者さんが耐えられないような副作用は極力出さないように」というスタンスになっています。

治療に入る前に、もう一度
 いずれにしても、チャンスにかけたいのであれば、自分の治療について十分に理解せず、副作用の虚像に脅えるのでは勿体ないです。
 副作用の種類や程度は、抗がん剤の種類や投与量、投与ルートによって違いますし、患者さんごとに大きく異なります。実際、同じ抗がん剤を同じ量、同じように投与しても、ある患者さんに出現した副作用が、ある患者さんには全く出ないことも珍しくありません。
 不安を軽減するには、まずよく知り、よく理解することが大切です。自分が受ける抗がん剤治療の副作用が、いつ、どのくらいの程度で出現し、どのくらい続く見込みか、どう対処したらよいのか――幸い、今では治療を受ける前に医師から説明を十分受けた上で、その治療を承諾したり選択したりできるインフォームドコンセント(説明と同意)が徹底されています。一度聞いて分からなければ、聞きたいことを箇条書きにメモしてもう一度予約を取ってもかまいません。不安な気持ちも併せて、担当医や看護師、薬剤師などにも素直に伝えてください。それでも迷うようであればセカンドオピニオンを利用して、担当医以外の専門医の意見を聞き、比較検討することもよいでしょう。
 これまで多くの人が様々な目標を持って抗がん剤治療を乗り越えてきました。治療を受ける前や受けながら、考えねばならないこともたくさんあるかと思います。それでも必要以上に気負わず、恐れず、医療者や家族と一緒に、がんと自分と、向き合っていってみてください。

受けないという選択肢 根治の望めない抗がん剤治療については、今も様々な議論があります。がんの状態や患者の体力などにもよりますが、生存期間の延長があまり期待できないこともあるからです。確かに苦しい副作用が分かっているなら、余命は少し短くなっても緩和ケア中心の穏やかな生活を選ぶことも、人生の選択肢の一つと言えるでしょう。ただ近年は、分子標的薬(10月号で特集します)の開発や使用方法の研究が進んできました。近い将来、抗がん剤治療への見方が大きく変わる日も来るかもしれません。

ロハスメディカル:http://lohasmedical.jp/archives/2011/08/post_176.php?page=1

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    2011年10月17日 Posted byすもも at 00:00 │Comments(0)読んだ本・・・がん

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