たまりば

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患者の嘘

昨日のブログで書いた入院中の生徒さんとのロールプレイングで思い出したことがあります

ロールプレイングは、何ヶ月かごとに行われているようで、比較的体調が安定していて
受け答えがきちんとできるような患者さんが選ばれて、生徒さんと話をするようです

私はその時は放射線治療だったので、下痢はあっても手術の時ほどの大変さではなかったのと
若い患者だったし東京から仙台の病院を選んできたという特異性もあったのだと思います

先生からの注意点としては「自分から聞かれていない事は話さないでください」ということでした
ついつい、無言の時間が長くなると「なんとかしなきゃ」って思うけれど、そうではなくて
学生さんの問いかけに答えるような形でやってくださいと言われました

きっと20歳代前半なんだろうなって思うくらいの若い精悍な顔つきの男子って感じでした
もしかしたら、私が20歳くらいで子どもを生んでいたらこれくらい?って思うくらい若い子でした

話としては、現在の治療状況と体調を聞かれたくらいなのかな?ほとんど何も聞かれることなく
東京から仙台までという経緯についても触れることなく終わっていました

そういえば、私が東京から仙台に来て入院するという話をした時に主治医もでしたが入院の手続きをしてくれる先生まで驚いて「えええ~~、知り合いもいないのに大丈夫??」と心配してくれました。そして「不安なことや何かあったら、いつでも電話してね」と電話番号も教えてくれました

入院している時も色んな人にびっくりされたので、まあ、普通はそうだろうなって思った

そんな私の状況にも驚かない彼に対して「なんでこの人は医者になりたいって思ったんやろ?」って思った。医者が一番最初に関わるのは、病気ではなくて患者やのにって・・・で、その時に書いたのが「なぜ医者になりたいのか」と「病気は診ているけれど、患者を見ていない」でした

その時に、前回のロールプレイングの時にやったという人がいて、私が「どうだった?」って聞くと「そんなの全然、駄目だったわよ。何にも話せないし」というので、私が「先生にはなんて言ったの?」って聞くと「よくできました。って答えたわよ。だって、若いし一生懸命なんだしN先生たちとは違うわよ」と言っていました。おばちゃんの「よくできました」は、一生懸命な彼に対する「ご褒美」みたいなものだったのかなって思った

そして、それはその人の「優しい嘘」なんだと思いました

患者はいろんな嘘をつきます

手術の次の日の朝、ICUから戻ってきた私は必死で歩きました
ほとんど看護婦さんに支えてもらっていましたが、でも自分の中の目標があったので頑張りました
そしたら、その次の日の朝(深夜勤)の看護師さんが「顔を洗うのも大変だから、ナースコールで呼んでね」と言ってくれました。それでナースコールで呼んでみると、血相を抱えて別の看護師さんが来て「あなた昨日は歩いていたでしょ!」と言ってガーグルベースを投げつけました
びっくりしている私に、同室の患者さんたちも一緒に凍りついたようになりました

「あの看護師さんって、いつも感じ悪いのよね」と他の患者さんが言って、今度、あの人が来てもしらんぷりしようねって4人で決めました。そして、おばちゃんが私には「看護師の人は今の時間、申し送りで忙しいから次からは私たちが手伝ってあげるから言ってね」って。そして「何かいって嫌がらせされると困るからああいう人はほっといたほうがいいのよ」って言われました

でも、あまりにも腹がたった私は婦長さんに直談判しました
で、結局、その後その看護師さんから、大きな「しっぺ返し」をされました

その時に看護師だって人なんだし、気に入らない患者がいれば嫌がらせするんだなって思った
でも、こっちは入院中だし例え嫌な相手であっても「嘘ついておこう」って思いました

患者の嘘には沢山の意味があります
自分を守るための嘘だったり、相手を気遣う嘘だったり。

私も主治医に嘘をつきました

放射線治療の時に、照射も半ばを過ぎて下の毛も全部抜けてしまったあたりから、お腹が痛く痛くて仕方がなくて朝の診察の時に、何度も痛いですって言っていました

でも先生からは「なんでそんなに痛いんだろう」とだけ言われて、結局、ロキソニンしか出てこなくて「こんなの全然、効かないのに」って悲しくなっていました

そして下痢の回数が多くなっていくのに比例して痛みも強くなっていくけれど、抗がん剤治療と併用しているほどの下痢でもないしということで、結局はロキソニンの長時間版みたいなのを処方されました。でも全然、痛みは治まらないし昼夜かまわずにやってくる下痢にほとんど寝れなくなっていた私は、週1回診察のある放射線科の医師に「痛い」と言いました

放射線科の先生は「照射も半ばになってきたし、副作用がかなり強くでているからモルヒネ系の薬を処方しようか?」と聞いてくれたのですが、私が「でも、婦人科ではそこまでしなくてもいいって言われた」と言いました。私としては婦人科に入院しているのだし、薬は婦人科でって思っていました

放射線科の医師からは何度か「そんなに痛いなら、僕が婦人科の先生に言うよ」って言ってくれたんだけれど、やっぱり最後には「大丈夫です」って言っていました。でもある時、連絡が入ったらしく看護師さんにも「うちの先生も言っているけれど、すももさんは、そこまで強い薬を出さなくてもいいんじゃない?」って言われました。でも痛いと言っているのは私なのに、なんで誰も私の意見は聞いてくれなくて先生の「大丈夫」って言葉を信じるんだろう?って思いました。その後、血尿がでて膀胱炎がわかってやっと本当に痛いんだと認めてもらったけれど、抗生物質がでただけで、最後まで痛み止めはロキソニンしか出ませんでした。

入院中はどこにも1人になれる場所がなかったから唯一、1人になれるシャワー室で泣いていました。1日に何度も何度も訪れる下痢に腹痛に寝不足・・・しかも、まだ排尿も排便も思うようにはいかないところもあったし、その上、痛みもわかってもらうことができない。つらくてつらくて何度も泣いていました

しかも、そのシャワー室だってトイレを済ませて入ったはずなのに、またシャワー室でお腹が痛くなるのでそのままそこでしていました。「なんでこんなところでせなあかんのよ・・・」って思った
この年になって、なんでこんな思いをしなあかんのって悔しくて悲しくて仕方がなかった

そして、なぜあの時私も、放射線科の医師に処方をお願いしなかったのかなって思います

今考えれれば、きっとそれは私なりの自分を守る「嘘」だったと思います

ガーグルベースを投げつけた看護師が「仕返し」してきたのと同じように、もし私が放射線科の先生の処方を受けたら、医師から仕返しがくるかもって考えたのかな?って思う。実際にはないと思います。でも、絶対に無いって言えるのかな?って思います

放射線治療を受けるために2度目の入院をした時、ポリープの手術の患者さんが入院してきました

あまりのわがままっぷりで、今でも彼女の事は同室だった友達と『お姫様』とあだ名をつけて語り草になっています。その『お姫様』は、追加の放射線治療の私と再発の手術の患者さんと末期がんの患者さんという部屋に、なぜこの人?というくらい違和感のある女性でしたが、手術の前に大泣きして大騒ぎしていた彼女は退院する時に「「がん」でなくてよかった」と言って退院したそうです

その時、部屋の中は、再発で手術した私のがん友さんだけだったそうですが「えっ?」って思ったって教えてくれました

彼女もきっと「嘘つき」だったんだなって思いました

私たちには「大変ね」とか「大丈夫?」って言っていたけれど、心の中では「私は、がんでなくてよかったわ」って思っていたんだなって思います

確かにそうだなって思います

私だって「がんになんてなりたくなかった」し・・・

でも彼女の大きなミスは、部屋を出る前にそれを言ってしまったことだと思います
嘘をつくなら、最後までつき通さないとね

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患者の嘘については、こちらから:http://www.qlife.jp/square/hospital/story10952.html

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    2012年10月11日 Posted byすもも at 00:00 │Comments(0)がんとこころ

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