たまりば

多摩の地域情報 多摩の地域情報三鷹市 三鷹市

がん患者の心を救う~精神腫瘍医の現場から~

がん患者の心を救う~精神腫瘍医の現場から~

がん患者の心を救う 精神腫瘍医の現場から
大西 秀樹 著

多くのがん患者が心の病を抱え、その必要性が叫ばれながら、日本にはまだ数十名しかいない、がん患者の心を専門に治療する医師――精神腫瘍医。その医師が見たがんと闘う患者と家族の記録。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以前、精神腫瘍科医について書いたことがありました
その後、偶然、この本を見つけました
訓練校に通いながら読んでいたのですが、何冊かを平行で読んでいたので
なかなか進まずに、やっと読み終えました

先日、とっても元気な60代の方2名と一緒にお茶をしました
その時に『自分は今まで大きな病気をしていないから・・・』と言って
私の事を『若いのに病気や大変な思いをしてすごいわ』と言われていました
私からしたら「60歳過ぎるまで元気でいられるなんて、なんていいことかしら」と思いました
40代で『がん患者』よりは、絶対に幸せなことだと思うんだけど・・・

最近、ちょっと感じたのは「病気を体験した人」=「人の痛みがわかる人」って意味合いを話す人がいますが、私としては「ちょっとまって!それって『人それぞれ』じゃないの?」って思います

自分自身もそうですが私がわかるのは、あくまでも「私自身の痛み」です
ただ、色々な人と話すことで共通の痛みを理解することができるだけで、それはあくまでも自分自身の大変さを反映しているだけだと思います

それに、自分の痛みを受け入れるのが精一杯で人の痛みを思いやる余裕のない人も沢山いると思います

以前、会社の同僚から友人がインドネシアに新婚旅行に出かけて津波に遭い奥さんを亡くした人がいるという話を聞きました
友人は、奥さんが見つからないままで帰国したということでした
結婚式で幸せそうにしていた友人と奥さんを見ていた矢先の出来事で、その事実が受け入れられない友人と何といって友人を励ませばいいのかわからないという彼の話を聞いた時に、私は「わからない」と答えました
彼から「あなたとは、分かり合えないのだと失望した」と言われました
その時に私は、仲の良かった叔母が1週間で記憶喪失になって「廃人」のようになっている現実がありました
今の私なら彼に何を言ってあげれるだろう?と思います
何もいえないかもしれないけれど、少なくとも今の自分なら彼から「失望した」と言われるということはないのかもしれないと思います
それは、自分自身が3・11に仙台にいたこと。
そして、東北地方にかかわりを持っていたからだと思います

ただ、人は自分の痛みの中で人の痛みを理解してあげることは、とても難しいのだと思いました

がん患者であってもステージ0期の非浸潤がんの方と私だと違います
もちろん「がんはがんでしょ」と言われるかもしれません
でも、同じようにがんであっても決して、同じではありません
基本的には0期での再発率の低さと浸潤がんとの再発率で考えても、やはりリスクの高さはあります
ただ、がんという病気の怖さは「再発」「転移」です
そういう部分であれば、再発率の低さ・高さの違いがあるとしても「がんはがん」だと思います

軽いステージだから悩みがない。という考えもできるけれど、反対に言えばステージの低い人は医師から「あなたは軽いから大丈夫。」と言われて「よかった」と思って手術する
そして、実際に1週間程度の入院で退院して退院後は、ほとんど何も問題なく日常生活に戻れるとすれば、その後に「自分は本当にあれでよかったのだろうか?」と疑問を持った時に「もっと悩んでいればよかったんじゃないのかな?」と考えるのではないかな?と思います

少しステージの高い人は手術の前の、悩みも深いような気がします
「自分で選択する事で人は、納得する事ができる」とすれば「誰かのいいなり」で手術をした患者さんのほうが悩みが深くても仕方がないような気がします
それを「軽いんだから、そんなに悩まなくてもいいんじゃないの?」というのは、ちょっと違うかな?って思ってしまったりします
しかも同じ患者さんからも「あなたは軽いから、いいでしょ」と言われてしまうと「自分を理解してもらえない」と思ってしまうのではないのでしょうか?

人の悩みは、他の人にはわからないもの。

この本の中で「1人称の悩み」「2人称の悩み」「3人称の悩み」というのを書かれていました
1人称の悩みは、がん患者さん本人の悩みです
2人称は、家族の悩みで、3人称は、医師や友人などの悩みです

がん患者さんが、同じ患者さんと話をしたいというのは、それが相手にとっても1人称の悩みだからです

でも、それなら精神腫瘍科医という存在はいらないのか?といえば、そうは思わない
患者としての悩みだけでなく、第三者に聞いてもらうことで得られる満足感もあると思います
また『がんの悩みは人それぞれ』なのであれば、がんの悩みだと思っていたのが夫婦間だったり、金銭的問題だったり、性の悩みだったり、病気からくる「うつ病」のサインだったりもします
そして、精神腫瘍科医という専門医だからこそできる薬の処方などもあるそうです

がん患者さんの精神的サポートが必要な割合は約50%と言われています
その中から何割かが「うつ病」になってしまいます
それほど、がんは精神的ダメージをうける病気だということだと思います

がん精神腫瘍科医。
3人に1人が「がんで死ぬ時代」であっても、まだまだ現状では不足しています
専門医を待つのは、少し時間がかかりそうですが
来年からは色々な場面でがんの「ピアサポーター」が取り上げられていくと思います
「患者ができることは、患者自身で」だと思います

今日はいい日、明日はもっといい日 精神腫瘍科:http://miyabimari.tamaliver.jp/c11073.html

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

  • 同じカテゴリー(読んだ本・・・がん)の記事画像
    死と不安を乗り越える: 「医活」納得のいく医療との出会い方
    がんと心
    「がん」からもう一度人生が始まる~絶望や不安を希望に変える心の持ち方~
    別冊宝島2000 「がん治療」のウソ
    医者の言いなりにならない「がん患者学」
    死と不安を乗り越える: 「医活」納得のいく医療との出会い方
    同じカテゴリー(読んだ本・・・がん)の記事
     身近な人がガンになったとき何をなすべきか (2014-11-04 20:54)
     死と不安を乗り越える: 「医活」納得のいく医療との出会い方 (2014-02-24 00:00)
     がんと心 (2014-01-04 00:00)
     「がん」からもう一度人生が始まる~絶望や不安を希望に変える心の持ち方~ (2013-12-29 00:00)
     「がん」からもう一度人生が始まる~絶望や不安を希望に変える心の持ち方~ (2013-12-27 00:00)
     別冊宝島2000 「がん治療」のウソ (2013-07-21 00:00)

    2011年12月19日 Posted byすもも at 00:00 │Comments(0)読んだ本・・・がん

    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    がん患者の心を救う~精神腫瘍医の現場から~
      コメント(0)