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逸見政孝さん~記者会見~

私が告知された時、一番に考えたのは同じ子宮頚がんになった友人でした

そして帰り道で考えたのは「逸見政孝さんの記者会見」でした

「私が侵されている本当の病名は、がんです」衝撃的な告白でした
そして「私は1年後に他界するのは本意ではありません」と言われました
その姿は、驚くほど痩せていて、それでいて真剣な言葉が思い出されました
逸見さんは、あの会見の3ヶ月後に亡くなられました

先日、がん友さんたちとご飯を食べながら「自分だったらどうする?」という話をしました
結局、結論は出ませんでした・・・

慶應義塾大学医学部の近藤誠医師は「もしも彼が私の患者さんであれば手術を勧めなかった」と
言われていました。そうすれば彼はもっと家族に色んな言葉を残してあげれたのに・・・と。

逸見政孝さん~記者会見~

私にはこの事を非難する事も、肯定する事もできません

それは私自身がそういう場面になっていないからです
確かに「もしも」や「仮に」は考えました。でも、実際には私は同じ状況ではありません
そういう私が何を言えるんだろうと思います

そして今の医療現場は、この頃とは全く違います
患者さんに対してどんな状態であれ「告知」します。それは「余命」であっても同じです
そして、どういった治療であれ説明をしなくてはいけません
「インフォームド・コンセント」説明と同意が必要です
そして今の医療であればどうかというのは、同じ人、同じ状況でないのでわかりません

ただ、昨日も書きましたが「緩和ケア」では積極的医療は行いません
でも、いかに患者さんの痛みを取るかを重視しています

私の友人のお母さんは緩和ケアに入院してから2週間で亡くなりましたが
最後まで自分の大好きなアイスクリームを食べていたと友達から聞きました
二人で「母らしくて、よかったね」と言いました
あっという間の2週間だったそうですが、友人はよかったと思うと言っていました
自己排尿ができずに尿導カテーテルも駄目で背中に穴をあけて直接、尿を抜いていました
肝臓がんが色々な場所に転移をしていて、痛みもあったと思います
一般の病院であれば、患者は病気で戦うための治療を受けなくてはいけません
それは、痛みを伴うものも多いはずです
でも、緩和ケアに入ってからは、ほとんど眠っていたそうです
腹水がたまったり、足がむくんだりしていたから、さすってあげていたという話を教えてくれました
それでも、容態が安定している時は、ご飯を食べて、大好きなアイスを食べていたんだから
母にとっては、つらい治療よりもよかったと思うといっていたのが印象的でした

私が告知されたのと同じ時期に「末期のすい臓がん」を告知された方がいました
彼は手術をしませんでした。しないことを選択した彼は医師が言われたのと同じくらい生きて、亡くなりました
亡くなる少し前まで、大好きな釣りをしたり友人と出かけたりしていたそうです
そして、最期はみんなに看取られて旅立ったそうです

緩和ケアに入ると「ずっと眠らされている」とか「モルヒネが中毒になる」とか言う家族の人がいます
でも、それは違います。そして、患者からしたら眠りたいんです
痛みがあったり体がつらい時は、起きているよりは寝ていたいと思うことも多いと思います

私が入院している時に病状の進んだ患者さんもいらっしゃいました
そういう方は、ほとんど眠っていました
歩くこともトイレに行くことも辛くなっていく患者さんにとって眠ることは
ほんのひと時でもいいから、つらさを忘れられるのかもしれません

私自身も手術後は、泥のように寝ていました。寝ても寝ても眠くて仕方がなかったでした
もしもあなたが風邪を引いて熱があるのに、起きていて欲しいと家族に言われたらどう思いますか?
お願いだから眠らせて欲しいと思うのではないでしょうか?

反対に眠れない夜はつらくてたまらなかったです。痛みがある時は尚更でした。
痛みが出てから痛み止めを入れてもらってもしばらくは効きません
そんな中、たった1人で痛みと戦っているような気持ちになりました
昼間は不思議と痛みを感じる事はあっても、のた打ち回るようなものもなかったし
なんとか我慢ができました。でも、夜は違います
不安もあるし、いつまでこの痛みが続くのだろうといった精神的な不安もありました
私は夜は、睡眠導入剤を処方してもらっていました
今では眠れないと医師に言うと、ほとんどの患者さんが処方してもらえます

緩和ケアは、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を重視して行われます
それは、これから退院していく人であっても、その場所で最期の時を迎える人であっても同じです
それを知っていて欲しいと思います

QOLとは:Quality of Lifeの略。「生活の質」と訳されることが多い。
医療の場においては、治療効果を優先させるだけではなく、治療後も患者の生活の質が
なるべく下がらないような治療を目指すことが重要となっている。

こちらに逸見さんの闘病について詳しい経緯が書かれています:http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/gan042itumi.htm


タグ :緩和ケア
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    2010年11月24日 Posted byすもも at 00:00 │Comments(0)その他

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