たまりば

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身近な人がガンになったとき何をなすべきか

最近、色々なことがあって古本屋さんで偶然見つけた帯津先生の本を買って読みました

内容は、今まで読んだ本とそう変わりはないけれど、帯津先生らしく補完代替療法についても書かれていて
自分がという部分もあるけれど、身内であっても感じるものがあります

本の中で納得の1言をみつけました

もし、告知された先生と合わないと思ったら変わってもらってもいいし、病院を変えてもいいと書かれていて
その中でアトナール・ブロイヤードというニューヨークの文芸評論家の方の言葉が書かれていました
彼は自分の主治医を交代してもらった時に、その主治医に対して感じたのが

「病気のようにパワフルで悪魔的なものを圧倒できるほど強烈にも意思的にも見えない医師」

ということだったそうです

おおお~~~!!確かに言える!と思った

私もそんな感じでした

「ほんまにこの先生でええんやろか?」「なんか、やる気のなさそうなおっさんやな」っていうのを感じた

がんは、医師にとっては日常かもしれない

でも、患者にしたら「天から空が落ちてくる」みたいな感じ。というか・・・

一生に一番の驚き?って感じです

そんな時に、そこそこのやる気。みたいな医師だったら、それだけで戦う気持ちが萎えてしまいます

めっちゃ熱血でなくてもいいから、せめて、患者がついていきたいって思える先生がいいなって思います

  
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  • 2014年11月04日 Posted by すもも at 20:54Comments(0)読んだ本・・・がん

    死と不安を乗り越える: 「医活」納得のいく医療との出会い方



    死と不安を乗り越える: 「医活」納得のいく医療との出会い方 大津秀一著

    内 容
    1000人の死を見届けた緩和医療医が語る自分に合った医者や治療を見つけるための正しい「医活」とは?治療や、医者、病院との付き合い方の様々な疑問に答えます。

    目 次
    序 章:がんばりすぎと不安をどう乗り越えるか
    第1章:自らの治療や死をどう乗り越えるか
    第2章:家族の病や死をどう乗り越えるか
    第3章:日本の医療をどう乗り越えるか
    第4章:日本の社会を乗り越える〜幸せになるために
    終 章:あなたがあなたであることを乗り越える
    おわりに・・・新しい世界へ向かって今を乗り越える、その先に

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    この先生の本は他にも読んだ事がありますが、緩和ケアということも内容も含めて「おじいちゃん?」ってイメージだったのが、1976年生まれと驚くほど若い!ちょっとびっくりします

    ただ、内容はすごくきちんとしたもので第1章の「自らの治療や不安をどう乗り越えるか」の中で担当の医師との相性が悪い場合は、どうすればいいでしょうか?について、医師との出会いは「結婚」と同じ。誰かがいいといったからと言って自分が嫌ならそれは、たとえ名医といわれる先生であってもその方にとっては名医ではないということ。
    これは、病院選びにも似ていると思いました。

    近いから選んだ。という患者さんもいますが、近くの先生や病院でいい先生に出会えればそれでいいし、どんなに遠くの名医であっても自分に合わなければ、その診察時間は、ただの居心地の悪い時でしかないと思います

    ようは「自分にとっての名医」であればいいんだと思います

    患者はどんなにいい先生にであっても、どんなにいい治療を受けたとしても最悪の結果になった時「自分が受けた治療が最善・最良のものであったか?」を悩むものだと思います
    その時に後悔しないこと。自分で納得したからと思う事ができれば、その時も受け止めることができるのかな?って思います

    「医活」というちょっと「婚活」みたいな響きですが、「先生選びは、結婚相手選びに似ている」という言葉に納得の内容です

      
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  • 2014年02月24日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    がんと心



    がんと心

    告知の衝撃、治療の苦しみ、再発への不安、孤独感―がんとの長い闘病生活において尽きることのない心の葛藤と、患者やその家族はどのように向き合えばいいのか。がん体験者である著者が、精神腫瘍医・内富庸介先生と、がんと心のありようについて、とことん話し合います。自分らしく生きるための心の指針。

      
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  • 2014年01月04日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    「がん」からもう一度人生が始まる~絶望や不安を希望に変える心の持ち方~

    「がん」からもう一度人生が始まる~絶望や不安を希望に変える心の持ち方~

    タイトルを見ただけでも、気になる言葉ですが内容もとても気になるものでした

    序章
    ・がんは慢性疾患のひとつにすぎない
    「がんは慢性疾患のひとつ」という考え方
     医師として伝えたいこと
    「特別な病気じゃない」と気付けば世界が変わる

    第1章
    ・新しい世界が見えてくる;第2章 周囲と明るく向き合いましょう
     誰でもチャレンジの権利はあります
    「今」を充実させる
     つらい経験から、今の仕事につながった

    第2章
    ・周囲と明るく向き合いましょう
     必要以上に隠すことではありません
     上司や同僚には、自分らしく伝えましょう
     仕事を辞める必要はありません
     家族への負担を気にしないように
     感謝の気持ちはサラッと言葉に出す
    「こうしてほしい」とはっきり伝えましょう
     働き盛りだからこそ悩むのでしょうが
     治療法を決めるのはあなたです
     情報過多は、かえって不安になります

    第3章
    ・親にどう伝えればいいのか
    「伝える」か「伝えない」か
     伝えるなら、心配りが必要です
     親の心情を思いやりながらも、きちんと伝える
     高齢の親にはどう話すべきか
     健康状態がよくない親に対しては
     遠くに住む親には小出しに伝える
     遠くに住む親に告げるのは、親の状態を知ってから
     親に隠したほうがいい場合もあります
     パートナーの親に話すときは 

    第4章
    ・医師とのパイプを太くしましょう
     病院選びはその人自身の権利です
     相性のよい病院にしましょう
     インターネットの情報を妄信していませんか
     ドクターと率直に話し合える関係をつくる
     生き方を決めるのは医師ではなく自分自身
     自分の体のことをもっと知りましょう

    第5章
    ・自分自身を大切に
     自分の身体の声に耳を傾けてみる
     ネガティブな感情を上手に処理しよう
     イメージ療法には驚くべき効果があります
     広がる「がん友」のつながり
     がんの先輩の生き方を知ろう
     心を軽くしてくれるカラーセラピー
     緊張から解放される呼吸法
    「頑張らない」という生き方

    第6章
    ・生きる喜びをかみしめる
     がんを抱えているからこそ「生」を楽しみたい
     一日ごとの達成感が生きがいになる
     自分が歩いた道を、形にして残したい
     誰にでもできるボランティアがある

    終章
    ・死と生を考える
     先人の最期から学ぶこと
     がんは、ゆっくりつきあう病気
     あの世とこの世は続いている

    本の内容はもっと沢山の項目があります
    告知から退院後の生活でも生きる内容だと思いました

    体験者だからわかること。でも、病院から離れていくと段々と自分自身の気持ちが「ねじれていく」ように感じることがあります。それは、どこかで「正しく悩む」というのではなく自分の感情に変なフタをしてしまっているからのように思います。

    どんなにつらいことであっても、きちんと悩まなければいけないように思います
    それも自分のためになっていくんじゃないかなって思ってます
      
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  • 2013年12月29日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    「がん」からもう一度人生が始まる~絶望や不安を希望に変える心の持ち方~



    「がん」からもう一度人生が始まる~絶望や不安を希望に変える心の持ち方~

    保坂隆著 《聖路加国際病院精神腫瘍科医長》

    保坂先生は、がんになった患者さんの心の負担を軽くし、落ち込まずに有意義な毎日を過ごしていくためのサポートを行なう、サイコオンコロジーのエキスパートである。保坂先生の勤務する聖路加国際病院では、盛んに行なわれている重要なケアプログラムであるが、実はまだ、このサイコオンコロジーの専門家は、日本では非常に少ない。これを増やしてゆくことが、今後のがん患者の人生の質を向上させることにつながるのであるが、現状ではなかなか難しい。それで生まれたのが、本書である。たくさんの患者と接してきた著者は、どのような点に患者の心のニーズがあるのかを知りつくしている。だから、がん告知を受け、絶望や不安に押しつぶされそうになっている患者の心がどう考えたら平静になれるか、将来に希望が持てるかについて、また、がん告知を受けてからの行動の取り方について、絶妙なアドバイスがこの一冊に込められている。患者、家族、関係者に必読の一冊である。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ピアサポーターの勉強をしていると自分自身が「がん体験者」なのに、自分の気持ちと相手の気持ちがわからなくなっていきます。 「私もこんな風に思っていたのに・・・」「私と同じ気持ちだったんだ」ということが沢山ありました。

    でも、実際にはほとんどの「がん体験者」は同じようなことを考えます

    本の中でも、色々な患者さんの体験が書かれていますが家族や医師との関係は様々ですが、不思議なくらいに患者さんの気持ちは手に取るようにわかります。つまり、人はがんのような「死に到るかもしれない病気の体験」をした時には同じようなことを考えるということです。

    本のいいところは、この場合どのように対処すればいいか。がきちんとかかれていることです。・・・が、なかなかこれを実際に行うのはとても難しいように感じました。

    それは「感じ方は似ている」けれど、それを受け止める側は「それぞれ」だからです

    ある人にはいいけれど、他の人にもそれがいいとは限らない・・・人の気持ちは、とっても複雑ですicon_maro06
      
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  • 2013年12月27日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    別冊宝島2000 「がん治療」のウソ



    別冊宝島2000 「がん治療」のウソ~医療の常識を疑え~
    著者:別冊宝島編集部 編

    [徹底解剖] 近藤誠の「がん理論」日本は『がん治療』後進国である!!

    ◆日本の「早期がん」は欧米では「がん」ではない
    ◆“がん細胞との闘い”が目的化している医師
    ◆放射線治療を受ける患者は米国の半分以下
    ◆日本ほど“トンデモ療法”が跋扈する国はない

    「審査」も「副作用」も製薬マネーに「抗がん剤」ビジネスの舞台裏
    適応患者はわずか2%!?粒子線治療の「効果」と「カネ」
    “がんの裁判官”がいない!!病理医不足が「がん誤診」を生む
    1000人を看取った在宅医が語る「がんの最後は痛くない」

    あなたのがん、がん治療の常識は間違っている!! 早期がんは焦って手術する必要はない、がん検診は科学的根拠がない、抗がん剤はリスクが多すぎる、進行がんは手術しても延命も根治もしない……。現役医師たちによるインタビューと取材により明らかになる「がん治療」のウソ。がん治療後進国の日本医療の実態を詳らかにする。

    http://tkj.jp/book/?cd=20200001
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    最近、気になっていたことがあります

    ある方のブログに「医療現場の問題点を感じます」と書いてあるのを読みました。その方は、一般の方というよりはカウンセラーをされている方のようで少し気になりました。また「セラピーのちからを実感しました」という言葉などもです。

    普通の人というか何もそうことに対して影響力がなく感想なら「そうなんだ」で済ませられますが、上の方は少なくともそうではない人のように思いました

    そういう人が何かをいうのであれば、例えそれがブログであってもきちんと「なぜ、自分はそう思ったのか」が必要な気がしました

    「問題点」のような場合、例えば誰かに言われたのであればどれくらいの人にどのような内容で言われたのか?の説明が必要なのではないかと思った私です

    以前、友人から「子どもにゲーム機を買ってほしいと言われたんだけど『みんなが持ってる』っていうから聞いたら、クラスの半分とかではなく、息子の遊び友達の4人中の2人が持ってただけなのよ」と言っていました。持っていない彼女の息子さんともう1人の友人のうち、そのゲーム機が欲しいと言っていたのは彼女の息子さんのほうだけだったそうです。私が「でも、4人のうち2人が持っているなら彼にとっては『みんな』なのかもね・・・それに、もう1人は『僕はいらない』って言ってるんでしょ」という話をした。結局、彼はおばあちゃんに頼んで誕生日に買ってもらったそうですが、友達は「私は買わない。だって『みんな』じゃないし」と言っていました。

    この場合、息子さんにとって『みんな』は4人のうちの2人だけど、彼にとっては毎日、遊んでいる友人だからそれは大切なことだったのかなって思います。でも、その中でも彼は欲しいと思ってもう1人はいらないと言っているという違いがなるんだなって思いました。

    私はこういう話って、意外とあるように感じます。

    先日もある女性からメールで色々な事が送られてきたのですが、最初のうちは違和感なく「そうなんだ」と思って肯定的に返信していたけれど、ある時から彼女のメールに対して物凄い「違和感」を感じ始めました。

    最初のうちは「何が」「どのように」か具体的にはわからなかったけれど、段々と「大人が本当にそんなことするかな?」とか「なんだかまるで自分がとってもモテてるって言ってるみたい」「これって自慢話??」みたいな内容が1日に何通も送られてくるようになっていました。

    それで、その方と共通の友人3人に確認したところ、1人は「私は知らない」と言って、あとの2人からはそれぞれのメールの内容を確認した上で「相手の人から聞いているけど、それは嘘」とか「それは合っているところもあるけれど、違うところもある」などと具体的に教えてもらいました。

    その時に感じたのは、いかに相手に伝えるか。で意図的ではないにしても相手に誤解を与えるような言い方ができるということでした。その1つに彼女は私にある男性から「日に何通もメールがきて困っている」といっていたのですが、実際にはメールアドレスを聞いたのも彼女からで相手は教えたくなかったということや、メールを送っていたのも最初は彼女からだったそうです。そして、その彼はただ彼女に律儀に返信を送っていただけ。というのがわかりました。そして、彼のほうでも彼女のメールに困っていたということでした。でも、確かに「自分が先にメールを送った」や「自分も返信している」と言わなければ「1日に何通もメールがきて困っている」というのを聞くと、聞いたほうは彼女が彼から発信のメールを受け取っていて返信に困っているんだなと彼女に寄り添って考えると思います。でもそこには困っているとは言いながら彼にメールを送っている彼女や本当に迷惑していたのは実は相手だったなどの情報は、正確には伝えられていないということです。

    この雑誌の中でも、少し気になることが書いてあります
    私のような「がん体験者」でも「本当にそうなの?」と思う事もあります

    でも「がんの最後は痛くない」などは、単行本があったりしてより具体的に知ることができます
    私のブログでも紹介しています:http://miyabimari.tamaliver.jp/e152077.html

    また病理医の不足なども乳がんの病理専門病院などがあったりします

    医療法人社団 正診会が運営する坂元記念クリニックは、乳がんの病理診断支援サービスを行う乳腺病理医の組織です:http://www.a-bp.net/

    もしも今、自分自身が告知されたり家族が告知された人がこの雑誌を手にしていたとしたら、有名な医師だから、がん専門医だからといって「それが全て正しい」とは思わないで「他に意見はないの?」「本当にこれでいいの?」といった気持ちで読んで欲しいと思った1冊でした

    そして最終的には、自分自身で考えて納得して答えを出して欲しいと思います
      
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  • 2013年07月21日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    医者の言いなりにならない「がん患者学」



    医者の言いなりにならない「がん患者学」

    内容紹介

    誤った「常識」があなたを「がん難民」にする!

    表面に見える「治療成績」で病院を選んでいないか
    「余命」マニュアルに沿って宣告しているだけの「余命」とは!?
    がん患者のあなたの名前を忘れる主治医はいい加減なのか?
    抗がん剤はがん細胞を殺すが、増殖を抑えることはできない

    専門外には思いのほか疎い「専門医」。氾濫する情報に惑わされずに病と向き合うには

    優秀だと言われる医師ほど、専門分野に特化しています。逆に言えば、専門以外の分野では、極めて素人である場合が多いのです。したがって、「がん専門医」が書いた「がんの本」でも、その医師が担当する分野が何かを見極めてから、内容を判断することが必要です。
    「インフォームド・コンセント」という言葉が一般的になったように、医師は患者に正確に現状を報告し、患者さんの意思を確認して治療に入ります。そのため、最終的には、治療の選択は患者さん自身にかかってくるのです。
    医師や科学者と患者さんの間には、厳然とした言葉の壁が存在し、医師や科学者のほとんどは、基礎知識のない患者さんとは「通訳」を介さずには会話ができません。多くの患者さんは「理解している」のではなく、「受け入れて信じている」のです。「サイエンスライター」としての私の役割は、この間の「通訳」に他なりません。

    ●患者会の存在は何を求めるものか
    ●早期がんと進行がんは紙一重
    ●患者は医師を選べない
    ●患者と医師の「思いの食い違い」
    ●セカンドオピニオンは専門医に
    ●標準治療でどこまで治せる
    ●医療格差を生む自由診療の医療費
    ●抗がん剤はなぜ効かなくなるのか
    ●「元気ながん難民」って?
    ●科学の進歩に合っていない治験

    http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=272728
      
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  • 2012年09月30日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    死と不安を乗り越える: 「医活」納得のいく医療との出会い方



    死と不安を乗り越える: 「医活」納得のいく医療との出会い方

    1976年生まれ。茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。緩和医療医。日本消化器病学会専門医、日本内科学会認定内科医、日本尊厳死協会リビングウィル (LW)受容協力医師、2006年度笹川医学医療研究財団ホスピス緩和ケアドクター養成コース修了。内科専門研修後、日本最年少のホスピス医(当時)の一 人として京都市左京区の日本バプテスト病院ホスピスに勤務したのち、2008年より東京都世田谷区の入院設備のある往診クリニック(在宅療養支援診療所) に勤務し、入院・在宅(往診)双方でがん患者・非がん患者を問わない終末期医療を実践、2010年6月から東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンター に所属し、緩和ケアチームを運営している(「BOOK著者紹介情報」より)

    「死ぬときに後悔すること25」大津秀一:http://miyabimari.tamaliver.jp/e137186.html

    すべて、患者さんが教えてくれた終末期医療のこと:http://miyabimari.tamaliver.jp/e315145.html

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    この先生の本は3冊目ですが、私がこの先生が好きなのは死生観というのかな
    死に対する考え方が好きです

    ・・・・・もちろん多くの人は、好き好んで死にたいとは思わないだろう。
    ただ、しかし、それは誰にも訪れてしまうのである。死を敗北としか思えないのならば、人は最後に必ず敗北で終わってしまう。同様に、愛する誰かを失うことが敗北なのであったら、人は生きている限り敗北し続け、そして最後に自分が敗北するという悲しい一生なのである。・・・・・(本文より)

    ついつい「がんで死ぬ」というと、多くの人に死=敗北というイメージがある気がします

    私の中では、そのイメージはアナウンサーの逸見政孝さんの言葉だった気がします

    人生の絶頂期ともいえるほどの時に、がんに罹患して48歳という若さで
    生きる事を望んで、でも結局はがんで亡くなってしまった彼の会見を思い出します

    まだまだ生きれると思っていた年齢で「がん」で死ななくてはいけなかった彼の言葉は多くの人の心を揺さぶったと思います。

    がん死=敗北。
    でも、がん患者になった今、それも「人それぞれ」なのではないかな?と思います

    多くはないけれど、何度か「死ぬなら、がんがいい」というのを聞いたことがあります

    先日もお稽古の時に、50代の方が「脳卒中や心筋梗塞でいきなり亡くなるなら、私はがんがいいわ」と言われていました。ちょうど、友人を心筋梗塞?で亡くされた後らしく、残された家族を見て「少しでも余命のある病気がいい」と言われました

    医師の中でも、そういう人がいます

    たった1日でも余命があれば「さようなら」や「ありがとう」を言うことができるから。。。と

    今、年間3万人以上の自殺者がいる時代になりました

    生きる事だけでなく、いかに死ぬかも問われている時代になったのかな。と思います


    ※逸見政孝さんのことについては、こちらに詳しいことが書かれています
    (この時の治療は現在の治療とも検査とも違います。現在の医療はもっと進んでいます)

    逸見政孝氏のがん治療への疑問に答える:http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/gan042itumi.htm
      
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  • 2012年09月26日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    女性のがん心のケア―乳がん・子宮がん・卵巣がん・大腸がん



    女性のがん心のケア―乳がん・子宮がん・卵巣がん・大腸がん (名医の診察室)

    がん患者さんの「心の悩みや痛み」は、抗がん剤の副作用よりもつらい…日本にはまだ数十名しかいない、精神腫瘍学の第一人者が、わかりやすく教えてくれる、がん患者の「心の治療」の最前線。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ■ 2010年05月10日: 「遺族の痛みに寄り添う」インタビュー記事が朝日新聞夕刊に掲載されました。

    朝日新聞夕刊 2010.05.10

    原文:
     がんで家族を亡くす。そのつらさに寄り添う「遺族外来」が、埼玉医科大学国際医療センターにある。担当医の大西秀樹教授は「こうしたら?」といった助言はしない。遺族自身が悲しみを語ることを通じ、回復の手がかりをつかむのを待つ。(磯村健太郎)

     --遺族外来は全国でも珍しい試みです。健康保険が適用される「精神腫瘍(しゅよう)科」という分野なのですね。
     私は、もともとは精神科医です。精神腫瘍科とは、がん患者の精神的なつらさを治療するところで、ここでは家族も診ます。家族は「第2の患者」と呼ばれます。不安や孤独感にさいなまれ、「どうしていいかわからない」という方がいる。
     さらに、ご遺族になったあとも親類に「なぜ早く、がんと気づかなかったの」と言われたり、葬儀のストレスが加わったり・・・・・・。患者さん本人が亡くなったからといって、ご家族の診療は終わり、とはいかない。そのために遺族外来があるのです。うつ病の方も多く、初診時で約4割を占めます。
     --どんなようすですか?
     例えば同世代の夫婦を見て、ねたんでしまう。そんな自分がいやで落ち込む方がいる。あるいは「記念日反応」といって、がん告知の日や命日などに気分が沈んでいくことがあるんですよ。桜が咲いているのを見て、「ああ、この季節に化学療法が始まったな」などと思い出す人もいます。
     よく「持っていかれた」とおっしゃる。なすすべもなかったという無力感。「もっと何かできなかっただろうか」という後悔。でも百%のケアなんてあり得ません。みなさん、実際は十分すぎるほど気づかいされていますよ。
     --心がけていることは?
     (倒れてきそうな人の肩に片手を当てるしぐさをしながら)そっと支える、という感じでしょうか。大事なのは、私の考えを押し付けないこと。何でも話してもらえる雰囲気づくりに努めます。そうするうちに、だんだんと深い話になっていきます。何年もたって「実は・・・・・・」と、だれにも言えなかったことを口にする方もいる。
     60代の女性が夫を亡くし、通院していました。あるとき自宅で(4人組のボーカルグループ)イル・ディーボの静かな音楽を聴いていた。そのとき、ふと宇宙の広がりを感じ、「どこかに、夫はいる」という感覚を持ったとおっしゃるんです。これを「意味の再構成」といいます。故人との新たな関係性をその人なりに組み立てていくことです。「いないけど、いる」と表現した人もいます。そのような「つながる感覚」がでてくるといいんです。
     --大切な人を亡くした人が身近にいたら、どう接すればいいのでしょう。
     例えば、つい「大往生だったじゃないの」と言ってしまいそうですが、これはいけません。どんなに高齢であっても、ご遺族はつらいんです。むしろ、さりげない行動がうれしかったとおっしゃる。お弁当を持ってきてくれたとか、何も言わずにそばにいてくれたとか。安心感につながるようです。そうしたことを、社会的に広く知ってもらいたいと思っています。

    大西秀樹先生のウェブサイト:http://www.e-oishasan.net/site/onishi/

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    去年読んだ『がん患者の心を救う―精神腫瘍医の現場から』という本の中で
    サイコオンコロジー(精神腫瘍学)という聞きなれない言葉を知りました

    がん患者の心を救うは、全般的ながんについてでしたが今回は「女性のがん」という
    性に関わるがんについて書かれたものでした

    このブログでも何度も何度も書いていますが、性に関わるがんは男性性・女性性の区別なく
    患者にとって大きな悩みの元になる気がします

    そしてそれをきっかけに「うつ状態」になる患者さんの数は半数以上と言われています
    それなのに、まだ精神腫瘍科医という先生がいる病院は、あまりありません

    こんなにがん患者がいて、男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんで死亡すると言っている時代にです

    まだまだ現場は追いついていないんだなって思いました
    これからは、患者が患者をサポートする時代になると思います(ピアサポーター)
    患者さんが、気軽に精神腫瘍科医にかかれる時代がくるのは、少しかかりそうです

    私がこの先生の言葉の中でいいなと思ったのが、がんの悩みについてです

    がん患者の悩みは、1人称の悩み
    がん患者の家族の悩みは、2人称の悩み
    そして、医師や友人は3人称の悩み。と書かれていました

    詳しいことはこちらに書いています:http://miyabimari.tamaliver.jp/e201109.html

    1年前の私の言葉だけれど「ああ、あの時こう考えていたんだな」と思いました

    矛盾があるかもしれないけれど、1年前の私も、今の私も、やっぱり私です
    よかったら、読んでみてください
      
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  • 2012年09月23日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    「病」を包む、お見舞い言葉・・・2



    「病」を包む、お見舞い言葉

    第1章・・・お見舞いに行く

    「今、大丈夫?」
    「どうなの?」
    「これ使って・・・」

    第2章・・・患者さんと話す

    「何か気になっていることはある?」
    「最近、どんなことを考えている?」
    「頑張ってね」
    「手術のことを聞いていい?」
    「主治医に話してみませんか?」
    「いい患者にならなくていいのよ」
    「ごめんね、寂しくさせちゃったね」
    「あなたは、どうしたい?」

    第3章・・・長い入院生活の人に

    「これからの時間をどう生きましょうか?」
    「あなたの存在は大きい」
    「何でも言っていいのよ」
    「あなたと出逢えてよかった」
    「つらいね」「よしよし、わかるよ」
    「どんな人生でした?」

    第4章・・・終末期の患者さんへ

    「死ぬことを考えることはある?」
    「命は預かりもの」
    「最後まで自分を見捨てないで」
    「しのいでね」
    「死ぬ時は、一人ではないのよ」
    「あなたは、赦されています」
    「性欲を感じることはない?」
    「死ぬことの話をしましょうか?」
    「誰か会いたい人はいますか?」
    「誰か会いたい人はいますか?」
    「話が出来なくなってもいいですか?」

    第5章・・・注意が必要な言葉

    「元気そうですね」
    「もう落ち着かれましたか?」
    「一日も早く、元気になられますように」
    「私はこうして治しました」
    「さぞ、ご心配でしょう?」

    第6章・・・遺族に向けて

    「たくさん思い出してください」
    「喪の仕事をしていますか?」
    「一人で逝っていないから、安心してね」
    「気がすむまで泣いていいんですよ」


    これだけ読んだだけでも「うんうん、わかるわかる」と思うことがあります
    特に第5章の注意が必要な言葉は、私も言われて嫌な気持ちになった言葉です

    「元気そうで」と言われると「そうでもないんだけど・・・」と思うと同時に
    私がもっと重症で、呼吸器とか点滴とかしてるほうがよかったのかな・・・なんて考え込んでたりします。相手はそんなつもりもなく素直に喜んでくれているとわかっているのに複雑な気持ちになる言葉です

    「私はこうして治しました」や「わたしの知り合いはこうやってよくなりました」も、あなたと私の状態は違うし、そもそもどういう状態かも知らないのにそんな風に言われても・・・と思っていました。誰かと比較する言葉って、患者本人をきちんと見ていない気がするのであまり気持ちのいい言葉ではないなって思います

    でもこの言葉は、退院後の患者さんやアドバイスを必要としている患者さんにかけると勇気を与えてあげれる言葉だと思います

    「さぞ、ご心配でしょう?」という言葉は、患者の家族に向けられた言葉です
    患者は「自分が家族の重荷になっているんじゃないか」と思っています
    そういう時に聞いてしまうと「ああ、やっぱり・・・」と感じてしまいます

    私が入院している時に、従姉妹が私の世話をしに来てくれました

    その時、従姉妹が「お母さんが『すももの望むことだけしてあげ』って言ってたわ」という事でした。ついついお見舞いに行くと「あれもこれもしてあげなきゃ」と考えがちですが、案外、患者が望んでいないことまでやってあげて、実は患者の負担になっていることもあります

    私は手術後、腹筋が全く使えなかったのでしゃがむ事も手を伸ばすこともできませんでした

    あとは、右側にしか寝返りが打てなくて、左側にテレビがあったのでそれをみるのも難しかったです
    その後、同室の人から頭の向きを変えてみたらいいよ。と教えてもらって、やっとテレビが見れるようになりました

    そんな私だったので、引き出しを開けるのも足でやっていたしタオルを出すのも足を使っていました。そんな状態だったので、病室のベットの引き出しの使える場所も決まっていました。ほとんどが使っていない引き出しや戸棚だったので、従姉妹も「ここの引き出し開いてるから入れるよ」と言って入れてくれました

    そんな時に「そこは使えないから入れないで」と言うのは、結構、しんどいものです
    しかも、自分が入れていないから必要な時に探さないといけないし、体調が悪い時にそれをやらなくてはいけないのは、本当に大変でした
    従姉妹は「そこはあかん」と言うと「そっか、わかった」と言って「お母さんが言った意味がよくわかったわ」と言ってくれました

    難しいけれど、何もしないで一緒にいるだけでいい。ということもあると思います

    友達のお母さんが入院した時に、手術後すぐで何にもできなかった私は、ずっとお母さんの手を擦っていました。別れる前にお母さんが自分のお腹の傷跡を見せてくれて「私の傷跡はもうほとんどわからなくなっているから、あなたも大丈夫」と言ってくれました(私が母に傷跡を見せて、「こんなになってもた」と言ったのを覚えていてくれたんだと思います)

    「もう会えないかもしれない」という言葉が、現実になってしまったけれど色々なことを話せたのでよかったと思いました。自分から何も話さなくても、何もできなくても患者さんの話を聞いてあげるだけでもいいんじゃないかなって思います。

    そして、以前「褒めるという事は誰かと比べるのではなく、その人だけを見て褒めるのが大切」というのを聞いたことがあります

    話をする時に、つい無意識に人と比べていることがあります
    「自分と比べて」「友達と比べて」「他の患者さんと比べて」・・・

    病気の時は、患者さんだけを見てあげる。っていうのが大切なのかもしれないですね
      
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  • 2012年09月03日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    「病」を包む、お見舞い言葉



    「病」を包む、お見舞い言葉

    大事な人が、がんなどの重度の病気になって入院した時、なんと声をかけて励ませばいいか。大事な人を失った遺族に、どう力づける言葉をかければいいか……。
    何か気の利いたことを言おうとするがあまり、つい「元気そうじゃないか」「すぐ退院できるから気を落とすなよ」と口にしたり、何か話さなくてはいけないと思うがあまり、「明るい病室じゃないか」「今日はいい天気だね」と言い、けれどあとの言葉が続かなくなる……。
    肝心なのは、見舞いする側が何かを話すのではなく、患者の話に耳を傾けること。手術前の患者、長い入院生活の患者、そして死を前にしている患者は、とっても多くのことを話したがっている!

    仏教カウンセラーとして、ホスピスで多くのがん患者を見守り、見送ってきた尼僧の著者が、患者の入院直後、手術前、手術後、末期、そして残された遺族にどうやって声をかけて勇気づければいいかを綴った実用ノンフィクション。
    がん患者だけでなく、鬱の人、その他重度の病気の人に対しても有効な、お見舞いに行くときに必須の1冊。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    私と同じ浄土真宗大谷派のお坊さんが書いた本というので読んでみました

    海外の本を読むと精神科医や牧師さんが病室に来て話を聞いてくれると書いていたりしますが、日本だとつい「お坊さんとがん患者?」って、「病院に入っていいのかな?」と考えました

    私が入院中には一度も見かけることはなかったけれど、もしかして呼んで欲しいと伝えたら来てもらえたのかな?って思います

    本を手に取った理由は自分が言われたという事もあるけれど、自分自身が言った事も「あれでよかったんやろか?」と思う事があったからです

    そして案外「患者だから・・・」と許してくれていたんじゃないのかなって・・・思います

    本の中で書かれている事で納得したのは「あなたは、どうしたい?」と聞くという事でした

    以前、末期がんで奥さんを亡くした人と話をした時に「自分は先の事を考えて欲しいというと妻がそんな先の事は考えられないと言う。それが悲しかった」というのを聞いて「患者にとっては1日先の事でもわからない。だから「今日、何がしたい?」と聞いて欲しかったんだと思う。でも、きっと奥さんはわかってくれていたはず」と話した事があります。その後、その方が私の話を聞いて号泣したと教えてくれました。

    私は自分がそう感じたから、そのまま言ってしまったけれど、それでよかったのかな?って思った

    そして、もしかしたら私は残酷な事を言ってしまったんだろうか・・・って思っていました

    患者だからわかること。もあります。でも、やっぱり「人は人」だと思います

    そういう私は「生かされている」という言葉が嫌いです

    末期がんの患者さんと話して感じたのは、みんな最期の瞬間まで必死で、そして精一杯「生きている」んだという事でした。だからこそ、つらい治療にも耐えているし自分の死も見つめているんだって・・・
    そして、そんな状況でも相手を思いやれる人が沢山います

    そんな人に対して「生かされている」なんていえないって思った

    私も自分が受けたい治療を受けるために仙台に行きました
    自分で選択した「生」です。だから、やっぱり生きてるんだといいたい
      
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  • 2012年09月01日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    すべて、患者さんが教えてくれた終末期医療のこと・・・2

    この本は、序章から「末期がん患者はモルヒネ投与で死期が早まる。しかし楽にしてあげるならそれしかない―本当か?」という問いから始まっています

    終末期医療の現場で起きていることが、きちんと書かれています

    私たちが知っている医療現場は病気で病院にかかっている人以外は、ほとんどが「人の感想」のような気がします。「OO病院の評判」という、ある特定の人の感想をさもそれが全てのように話したことを、そのまま受け止めているような事があります

    ある病院のことを「あの病院に入ったら、もう帰ってこれないのよね」と誰かに聞いたとします
    それを聞いた人は「そうか、そんなに危ない病院なんだ」と思う人がほとんどだと思います
    でも、それを聞いた医療現場を理解している人なら「ホスピスがあるんだ」と考えます
    それくらい大きな差がある気がしました

    本の内容は、

    第1章
    臨終では、ドラマのように、愛する人の名前を読んだ後、がくっと死ぬ―本当か?

    第2章
    望まぬ延命治療をされているのは一部の人間で、事前の意思表示をしておけば絶対に大丈夫―本当か?

    第3章
    抗がん剤は最後までし続けたほうが命が延びる。あるいは逆に、抗がん剤は苦しいだけ―本当か?

    第4章
    がん患者が一番かわいそうである。がんにだけはなりたくない―本当か?

    第5章
    悪いのは不真面目な医師である。医者がちゃんとすれば医療は変わる―本当か?

    終章
    望んだ終わりへ

    「おわりに」のところで、ある患者さんの死から学んだことが書かれていました
    彼の最期は、全ての患者さんの理想とも言えるものでした

    ・・・彼のすごいところは、全てにおいて、自分がどうしたいか、そのビジョンを持っていたところでだった。そしてそれを実現するための情報を自ら、あるいは医療者から集めて、その情報をもとに考え、その結果生まれた希望を医療者に伝え、望む結末が用意された。
    話を聞けば、終末期のみならず、抗がん剤治療を受けている頃から彼はそうだったという。
    「まず自分がそうしたいのか?」、それを常に明らかにして、彼は行動してきた。

    「根治の可能性がなくても、最後までがんと闘うのか」
    「根治の可能性がなくても、できる限りの治療を行うのか」
    「根治の可能性がなかったら、一切の治療はいらないのか」
    「緩和医療は行うのか否か」・・・・・・・本文抜粋。

    これを読んで思ったのは「これって当たり前じゃないのかな」という事でした
    でも、これをきちんと考える事は「自分の死を見つめること」だと思います
    それって、やっぱりつらいと思う

    そして、私のようにだんなも子どももいない人間は、自分のビジョンを貫くことができるかも知れないけれど、子どもやだんながいる人。また、その人が「1日でも長く生きていて欲しい」と望んでいる人なら、またその最後は変化していくのだろうし・・・

    でも最期を自分らしく迎えることは「自分らしく生きる」ことと同じくらい大切なことだと思います

    それには私であれば、親や医療者に自分の望む死をきちんと伝えることが大切なのかなって思います

    「人は必ず死にます。致死率100%です」と言った医師がいます
    生きる事も死ぬことも受け入れていかなくてはいけないんだなって思う私でした
      
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  • 2012年08月14日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    すべて、患者さんが教えてくれた終末期医療のこと・・・1



    すべて、患者さんが教えてくれた終末期医療のこと

    大津 秀一 著
    内容:『死ぬときに後悔すること25』で知られる著者が、終末期・死に関する6つの誤解について解いていく。患者さんが教えてくれた終末期医療の選択と、よりよい最期を迎えるためのヒント。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    治療後1年が過ぎた頃に「再発の可能性」を言われました

    幸い、再発はなかったけれどその時に「終末期医療」について考えました

    再発=死ではない。けれど、再発→転移であれば、その可能性もあります
    私のがんは、基本的に抗がん剤が「効きにくい」ので、手術が受けれなければ、
    それは遅かれ早かれ死を意味します

    手術を受けるなら、今の主治医に切ってもらおう。と決めた私は、今もその気持ちは変わりません
    ただ、それ以上の医療が必要であるなら地元に帰ろうと思っています

    そして、その時が来たら・・・も色々と考えていました

    ホスピスに入るかどうか。は別にしても、基本的には口から食べ物が食べれない状態になるような胃ろうは作らない。人工呼吸器はつけない。という「延命治療は受けない」というのが私の考えでした
    でも口から食べれるのであれば、ストーマはつけると思います
    私は物が食べれるのが大切なことだと思っているので、それが基準になっています

    そして、それは延命治療を受けるには、がんという病気はあまり適さないと思ったからです

    全身にがんが転移した状態であれば、それは二度と治りはしない(完治しない)のだから
    長く生きてもそれでその後の人生がある訳ではないということだと思います

    まだまだ生きれる。例えば、胃ろうをして働けるようになる。とか、人工呼吸器をしても
    いつかは外すことができて、自発呼吸ができるようになる。または、それをつけた状態でも
    歩いたり仕事ができるなら、それは必要な治療だと思います

    でも、ただ生きるために行われる医療ならば、私は必要ないなって思う

    それは抗がん剤治療も同じように思いました

    本の中で抗がん剤治療を受けた大腸がんの患者さんは寿命が20ヶ月延びたと書かれていました
    それだけの時間があれば、自分が会いたい人に会うことも行きたかった場所に行く事もできるかもしれない
    最後に、家族や友人と温泉くらいにならいけるかもしれないと思いました
    そのための抗がん剤治療であれば、受けたいと思います
    でも、ただ命を削るようなものならいやだなって思います

    終末期医療については、色々な考えがあると思います

    本の中で「家族だから」とまるで医師のように抗がん剤を押し付けてくるお嫁さんの話が書いてありました
    さも家族の意向だから、本人もそう望んでいるからと患者の苦痛よりも医師の言葉よりもネットの情報を押し付けてくる人。
    そこまでではなくても、多くの家族が「よくならない」のを心の中では理解しながらも、
    自分の都合で患者の延命を望んでいる場合があると思います

    患者の1日でも長く生きたい。という気持ちと家族の生きて欲しいが同じ時もあると思います

    でも、それが最期の時が近づいた時も同じであるとは思わない私です

    この本を読んで最後のページの先生のプロフィールを見て1976年生まれという若さにびっくりしました
    終末期医療に関わっている先生って、年齢が高いと勝手に考えていたからよかったと思いました
      
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  • 2012年08月12日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    病院長が教える賢く病院と付き合う方法



    病院長が教える賢く病院と付き合う方法

    医療現場が危ない。今だからこそ、知らなきゃならないことがある。

    毛利/博
    現在、藤枝市立総合病院院長、北里大学医学部客員教授。1975年、横浜市立大学医学部卒業。医学博士。1975年聖路加国際病院内科医。1987年米国カリフォルニア州・サンディエゴ市スクリップス研究所研究員、横浜市立大学医学部内科学第一講座講師、2002年慶応義塾大学医学部伊勢慶応病院内科助教授。2002年北里大学医学部内科学非常勤講師。2003年東海大学医学部保健管理学助教授。2004年藤枝市立総合病院副院長。2005年北里大学医学部客員教授。2008年藤枝市立総合病院病院長日本血液学会代議員、日本血栓止血学会評議員、日本臨床病理学会評議員、日本検査血液学会評議員他

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    この本は、患者が今の医療現場を知るために読んでおくといい1冊だと思います
    何回かに分けて患者の目で紹介していきたいと思います

    「良い医療」とはいったいどういう意味なのか?

    1.医療に「絶対」はない-だから信頼関係の構築が重要

    がんという病気のせいでしょうか?

    良性の患者さんが抱えている悩みとは少し違う目で病気や医師を見ているところがあります
    「切れば治る」ことが約束されていない病気の私としては、これからこの病気とずっと付き合っていかなくてはいけないという覚悟と「果たしてこの先生でいいのだろうか?」という気持ちがとても大きかったような気がします

    だから告知と一緒に「40歳過ぎたら子宮はいらないでしょ」なんていう医師に腹を切ってもらうか!と思いました

    がんって、やっぱり複雑な病気だと思います

    どんなに「早期がんです」と言われていても「お腹を切って検査してみないとわかりません」って言われるし、基本的には「最悪な場合」を想定して言われるので、おちおち安心もしていられないって思います
    しかも、診察室で聞く言葉のほとんどが初めてばかりで「何?何のこと?」ってことばかりでした

    都内の医師は、ほとんど何の説明もせずに、しかも「時間がない」としか言わないので心が通じることはなかった

    その後、仙台の私の主治医に初めて会った時には「この先生でよかった」と診察室で泣きました
    自分で選んだ病院とはいえ「この先生なら」と思えたのは、先生の人間性だったのかな?って思いました

    手術の前の日に「明日の朝は会えないから」と病室に来てくれて「心配な事はないですか?」と聞いてくれた話は、ここにも何度か書きましたが、そういう事が「当たり前」なのかな?って思っていたけれど「そんな事ないよ」という患者さんの言葉で「先生でよかった」と何度も思いました

    入院中に、同じ病室だった患者さんが最悪な事ではあったけれど、聞かされた相手がN先生でよかった。と教えてくれました。私も同じ先生ですが、そう思いました

    同じ「最悪な事」であっても、誰からどのように聞かされるかで患者の受け取り方は色々なんだと思います

    そしてどんな医師であっても「絶対などないのだ」という事を患者もきちんと理解しておくことも必要なのかなって思いました

    どんなに「綺麗に取った」としても、今の医療では無理な事もあります
    また、手術後すぐに合併症が起きる場合もあるし、元気に退院したのに再入院する人もいます
    そして、がんは何年、何十年後であっても、再発することもあります

    ただ、どんなに納得している気がしていても、患者の未練や残された家族の後悔はあります

    その時に「あの先生が悪い」というのではなく「最期に診てもらったのが先生でよかった」という人間関係ができていたらなって思います
      
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  • 2012年06月26日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    放射線医が語る被ばくと発がんの真実



    福島第一原子力発電所の事故以降、10ヵ月以上が経つが、状況はいまだ予断を許さない。「内部被ばくは、外部被ばくの600倍危険だ」「福島の野菜は食べてはいけない」「西に逃げろ」…。様々な「専門家」たちの意見が飛び交い、私たちを不安に駆り立てる。本書の著者は、長年にわたり放射線医としてがん患者の治療に携わってきた。被ばくと発がんリスクの問題について語るに最も相応しい人物といえよう。さらに事故後、福島で行った調査や、広島・長崎、そしてチェルノブイリのデータ分析も踏まえて導いた結論は、大きな説得力をもつ。福島と日本の将来に希望が見いだせる一冊である。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    最近は、中川先生を見かけることはほとんどなくなりましたが、講演会などの印象からすると
    ちょっと「放射線に対して、甘くない?」という気もしますが・・・

    でも、今だに何が正しくて何が間違いなのかすらわからない報道を見ていると
    東大病院の放射線科医という中川先生の言葉を信じたくなる私でした

    そして、1年を過ぎた今だからこそ、冷静に読んでみる必要があるのかな?と思います

      
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  • 2012年05月30日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    「死ぬ瞬間」と死後の生~エリザベス・キューブラー・ロス~



    「死ぬ瞬間」と死後の生
     著者はホスピスを世界に広めた精神科医で、臨死体験を綴った『死ぬ瞬間』などの著書でも知られる。彼女はどうしたら苦しみを乗り越えられるか、死を恐れずに受け入れられるかをテーマに、各国で講演している。本書はそれら講演の内容をまとめたもので、彼女の語りが笑い声まで再現されていて思わず引き込まれる。
     「人間は直感で正しい道が分かるものだ。それに従うと困難な道を行くことになる。だがその苦しみを耐え抜くと多くを学ぶことができる」という彼女のメッセージは、より良い死はより良く生きることによってもたらされると教えられる。様々な困難にさらされる現代人にとって、人生を100%生きるのが難しい時代だ。それだけに彼女の一言一言には重みがある。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    前回の本と平行に読んでいたあと1冊を読み終えました
    「死ぬ瞬間」と言われて人はなにを考えるのでしょうか?
    というか、元気な時に自分が「死ぬ瞬間」を想像する人は、一体どれくらいいるのでしょうか?

    「がん」だから・・・というのではないです
    でも、ある日自分が「がん患者」になってしまう時に最初に考える事が「死ぬこと」です
    「私はどれくらい生きていけるのかな?」ということ
    そして、自分が知っている「がん患者」を探していたりします
    それは、自分の祖母だったり親だったり親戚だったりします
    自分と同じ病名の芸能人だったりもします
    「あの人は、生きてる」と考えて「自分も大丈夫だよね?」と思ったり
    でも「あの人は亡くなってる・・・私は?」と考えてつらくなってしまったり

    人はなぜ自分の幸せに気がつくのか?

    それは『不幸を知っているから』だと思います

    不幸な体験をして初めて本当の意味で「幸せ」を知る事ができる
    だからこそ自分に「死ぬ瞬間」がいつ訪れたとしても、後悔ないように生きていこうと願っているのだと思います
    死は全ての人に訪れます

    死亡率100%です

    どんな人生を望むのか。それは自分で決めることができるのだと思います

    私は最期は「笑っていたいな」って思います
    たとえたった1人であっても、どんな場面であっても「まあ、よかったんじゃない」って笑っていたいなって思います  
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  • 2011年12月26日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    がん患者の心を救う~精神腫瘍医の現場から~



    がん患者の心を救う 精神腫瘍医の現場から
    大西 秀樹 著

    多くのがん患者が心の病を抱え、その必要性が叫ばれながら、日本にはまだ数十名しかいない、がん患者の心を専門に治療する医師――精神腫瘍医。その医師が見たがんと闘う患者と家族の記録。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    以前、精神腫瘍科医について書いたことがありました
    その後、偶然、この本を見つけました
    訓練校に通いながら読んでいたのですが、何冊かを平行で読んでいたので
    なかなか進まずに、やっと読み終えました

    先日、とっても元気な60代の方2名と一緒にお茶をしました
    その時に『自分は今まで大きな病気をしていないから・・・』と言って
    私の事を『若いのに病気や大変な思いをしてすごいわ』と言われていました
    私からしたら「60歳過ぎるまで元気でいられるなんて、なんていいことかしら」と思いました
    40代で『がん患者』よりは、絶対に幸せなことだと思うんだけど・・・

    最近、ちょっと感じたのは「病気を体験した人」=「人の痛みがわかる人」って意味合いを話す人がいますが、私としては「ちょっとまって!それって『人それぞれ』じゃないの?」って思います

    自分自身もそうですが私がわかるのは、あくまでも「私自身の痛み」です
    ただ、色々な人と話すことで共通の痛みを理解することができるだけで、それはあくまでも自分自身の大変さを反映しているだけだと思います

    それに、自分の痛みを受け入れるのが精一杯で人の痛みを思いやる余裕のない人も沢山いると思います

    以前、会社の同僚から友人がインドネシアに新婚旅行に出かけて津波に遭い奥さんを亡くした人がいるという話を聞きました
    友人は、奥さんが見つからないままで帰国したということでした
    結婚式で幸せそうにしていた友人と奥さんを見ていた矢先の出来事で、その事実が受け入れられない友人と何といって友人を励ませばいいのかわからないという彼の話を聞いた時に、私は「わからない」と答えました
    彼から「あなたとは、分かり合えないのだと失望した」と言われました
    その時に私は、仲の良かった叔母が1週間で記憶喪失になって「廃人」のようになっている現実がありました
    今の私なら彼に何を言ってあげれるだろう?と思います
    何もいえないかもしれないけれど、少なくとも今の自分なら彼から「失望した」と言われるということはないのかもしれないと思います
    それは、自分自身が3・11に仙台にいたこと。
    そして、東北地方にかかわりを持っていたからだと思います

    ただ、人は自分の痛みの中で人の痛みを理解してあげることは、とても難しいのだと思いました

    がん患者であってもステージ0期の非浸潤がんの方と私だと違います
    もちろん「がんはがんでしょ」と言われるかもしれません
    でも、同じようにがんであっても決して、同じではありません
    基本的には0期での再発率の低さと浸潤がんとの再発率で考えても、やはりリスクの高さはあります
    ただ、がんという病気の怖さは「再発」「転移」です
    そういう部分であれば、再発率の低さ・高さの違いがあるとしても「がんはがん」だと思います

    軽いステージだから悩みがない。という考えもできるけれど、反対に言えばステージの低い人は医師から「あなたは軽いから大丈夫。」と言われて「よかった」と思って手術する
    そして、実際に1週間程度の入院で退院して退院後は、ほとんど何も問題なく日常生活に戻れるとすれば、その後に「自分は本当にあれでよかったのだろうか?」と疑問を持った時に「もっと悩んでいればよかったんじゃないのかな?」と考えるのではないかな?と思います

    少しステージの高い人は手術の前の、悩みも深いような気がします
    「自分で選択する事で人は、納得する事ができる」とすれば「誰かのいいなり」で手術をした患者さんのほうが悩みが深くても仕方がないような気がします
    それを「軽いんだから、そんなに悩まなくてもいいんじゃないの?」というのは、ちょっと違うかな?って思ってしまったりします
    しかも同じ患者さんからも「あなたは軽いから、いいでしょ」と言われてしまうと「自分を理解してもらえない」と思ってしまうのではないのでしょうか?

    人の悩みは、他の人にはわからないもの。

    この本の中で「1人称の悩み」「2人称の悩み」「3人称の悩み」というのを書かれていました
    1人称の悩みは、がん患者さん本人の悩みです
    2人称は、家族の悩みで、3人称は、医師や友人などの悩みです

    がん患者さんが、同じ患者さんと話をしたいというのは、それが相手にとっても1人称の悩みだからです

    でも、それなら精神腫瘍科医という存在はいらないのか?といえば、そうは思わない
    患者としての悩みだけでなく、第三者に聞いてもらうことで得られる満足感もあると思います
    また『がんの悩みは人それぞれ』なのであれば、がんの悩みだと思っていたのが夫婦間だったり、金銭的問題だったり、性の悩みだったり、病気からくる「うつ病」のサインだったりもします
    そして、精神腫瘍科医という専門医だからこそできる薬の処方などもあるそうです

    がん患者さんの精神的サポートが必要な割合は約50%と言われています
    その中から何割かが「うつ病」になってしまいます
    それほど、がんは精神的ダメージをうける病気だということだと思います

    がん精神腫瘍科医。
    3人に1人が「がんで死ぬ時代」であっても、まだまだ現状では不足しています
    専門医を待つのは、少し時間がかかりそうですが
    来年からは色々な場面でがんの「ピアサポーター」が取り上げられていくと思います
    「患者ができることは、患者自身で」だと思います

    今日はいい日、明日はもっといい日 精神腫瘍科:http://miyabimari.tamaliver.jp/c11073.html  
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  • 2011年12月19日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    ロハスメディカル~抗がん剤なぜ効くのか2~



    今回取り上げるのは、ホルモン剤と呼ばれるもの。いわゆる抗がん剤とは毛色が違いますが、ある種のがんにとっては弱点をついた効果的な攻撃になります。

    監修/伊藤良則 がん研有明病院化学療法科乳腺担当部長

     一般に抗がん剤というと、普通は「細胞毒」に分類される薬を指し、それを使った治療が化学療法です――と、これが前回の話でした。化学療法と似たような言葉に薬物療法がありますが、厳密に言えばこちらは、「ホルモン剤」を使ったホルモン療法(内分泌療法)も含みます。
     そもそもホルモンとは、特定の器官の働きを調節するために分泌される情報伝達物質の総称。脳の視床下部や下垂体、首から肩の辺りにある甲状腺や副甲状腺、膵臓の膵島、腎臓の上にある副腎、男性では精巣、女性では卵巣といった、主に「内分泌腺」と呼ばれる器官で産生される化学物質です。作られた器官とは別の器官(標的器官)まで血液に乗って運ばれ、そこでいわば鍵が鍵穴にはまるように結合すると、特定の作用が引き起こされるようにできています。
     こうして体のあちこちに絶えず指令を運んでいる様々なホルモンのうち、生殖機能の調整を担っているホルモンを、一般に「性ホルモン」と呼んでいます。女性ホルモンの代表例は卵巣から分泌されるエストロゲン。一方、男性ホルモンはアンドロゲンともいい、精巣から分泌されるテストステロンが有名です。それぞれ女性らしさや男性らしさを司っているホルモンとして耳にしたことがある人も多いでしょう。
     この性ホルモンが、ある種のがんでは、がん細胞の増殖に関与していることが分かっています。例えば乳がんでは、ホルモンバランスが崩れてエストロゲンが過剰に分泌されることで乳腺の上皮細胞が異常に増殖し、がん発生につながると考えられています。そうした点を突くべく、性ホルモンの分泌を人為的に操作してがんを封じ込めようというのがホルモン療法なのです。



    ホルモン依存性かどうか
     ですから基本的にホルモン療法の対象となるのも、女性は乳がん、子宮体がん、卵巣がん、男性では前立腺がん、といったように生殖器のがんが中心。例外的に、甲状腺がん、腎がん等もあります。要は「性ホルモンで成長するがん」でなければならず、逆に、生殖器のがんでも性ホルモンによって成長しない場合には、効果は期待できません。
     性ホルモンで成長するがん、つまり性ホルモンが分裂・増殖に関与しているがんを、「ホルモン依存性のがん」と言います。ホルモン依存性かどうかは、がん細胞の核の中にホルモン受容体(レセプター、ホルモンを受け取る部分)があるかないかで決まってきます。
     ホルモン受容体は、特定のホルモンを受け取ってその信号を読み取る部分。先ほどの表現を使えば、女性ホルモンが鍵で受容体が鍵穴です。詳しい仕組みはまだ解明途上なのですが、この鍵と鍵穴が出合って結びつくと、鍵穴ごと細胞の核の内部に取り込まれ、細胞増殖を促す遺伝子の発現を引き起こすことが明らかになってきました。そうして、がん細胞が異常な分裂・増殖を始めたり強めたりすることになります。
     ですから、こうしたホルモン受容体のあるがんならば、ホルモン療法の効果が期待できます。見極めるためには、がん細胞を採取して、ホルモン受容体があるかないか、つまり陽性(+)か陰性(-)かを調べます。例えば乳がんなら、エストロゲン受容体かプロゲステロン受容体のどちらかが陽性であればホルモン療法が有効。ホルモン受容体が陰性の場合は、化学療法を受けるのが標準的です。


    体への負担少なく進行を遅らせる。
     さて「性ホルモンで成長するがん」の場合、やはりというべきか、性ホルモンの分泌が止まるとがん細胞の増殖も抑えられることが観察されています。これを人為的に行うのがホルモン療法の仕組み。直接的にがん細胞を殺すというより、性ホルモンの供給を絶ってがん細胞の増殖を止め、自滅に追い込もうというものです。
     そのためホルモン療法だけでがんを根治することはできせんが、がんの進行を遅らせるのには有効。なおかつ細胞毒系の抗がん剤のように直接的に細胞やDNAを破壊したりするわけではないので、強い副作用が少ないというメリットがあります。欧米では特定のがんの発症リスクの高い人に対し、予防的に投与されてもいます。ただ、細胞毒系の抗がん剤と組み合わせると、相性によっては作用が相殺されたり副作用が強まってしまうことも。注意が必要です。

    ホルモン剤もいろいろ
     ホルモン剤にもいくつか種類があります。近年のがん治療で最も多く使われているのが、「抗ホルモン剤」と呼ばれるもの。これは、特定のホルモンに似せた物質で、送り込まれたがん細胞の中にホルモン受容体があると、ホルモンを出し抜いていちはやく結合してしまいます。結合したところでそれはホルモンではありませんから、何の指令を担っているわけでもありません。そうしてがん細胞を増殖させる情報伝達を阻害するのです。女性特有のがんには女性ホルモンのエストロゲンに似せた抗エストロゲン剤、男性特有のがんにはアンドロゲンに似せた抗アンドロゲン剤がそれぞれ使われます。
     これに対し、がんの治療にホルモン剤が使用され始めた頃は、そのものずばり性ホルモンの製剤を投与するのが主流でした。ホルモンは、反作用をもつ別のホルモンによって分泌が促進されたり、抑制されたりする性質があります。そこで、男性ホルモンによって増殖する前立腺がん等にはエストロゲン製剤など女性ホルモンを投与、女性ホルモンによって増殖する乳がんや子宮体がん等にはテストステロン製剤など男性ホルモンを投与、というふうに〝逆の性ホルモン〟で対抗するわけです。
     性ホルモンの分泌を抑制するものとして他に、性ホルモンの分泌を促すLH(性腺刺激ホルモン)やLH‐RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)に似せた薬剤を投与する方法があります。特に「LH‐RHアゴニスト製剤」は実効性が多く報告されています。アゴニストとは、受容体に結合して生体ホルモンと同じ作用を及ぼす化合物のこと。ちょっと聞くと、抗ホルモン剤がホルモンと似ていることを利用しているのと同じやり口かと思われるかもしれませんが、厳密には逆の働きを使っています。LH‐RHアゴニスト製剤は、体から分泌されるLH‐RHの数十倍の強さで下垂体の受容体を刺激します。すると一時的にLHの分泌は高まりますが、連続的に過度に刺激されたLH‐RH受容体はかえって減少していくのです。結果、LHの分泌が抑制され、ホルモン分泌が抑えられる仕組みというわけです。
     このほか、性ホルモンの生産に関わる酵素の働きを抑えることで、ホルモン分泌を妨げる「ホルモン生成阻害剤」もあります。例えば、女性ホルモンのエストロゲン産生に必要なアロマターゼの働きを抑える「アロマターゼ阻害剤」が女性特有のがんに多く使用されています。
     こうしたホルモン剤の多くは、液剤や錠剤の形で毎日服用します。LH‐RHアゴニスト製剤は皮下注射で投与します。

    ホルモン剤、選択のポイントは?
     ここからは女性の2大がんである乳がんと子宮体がん、そして男性特有のがんとして前立腺がんを例に、ホルモン剤の作用の仕方についてもう一歩踏み込んで見ていきます。
     女性特有のがんの場合、ホルモン療法のポイントは、閉経前と閉経後でエストロゲン分泌のされ方が違い、そのために使う薬も違ってくるかもしれない、という点です。
     閉経前の女性の場合、まず脳の視床下部というところからLH‐RHが分泌されます。このLH‐RHが脳下垂体でLH‐RH受容体と結合し、LH(卵胞刺激ホルモン)を作り出し、LHの刺激を受けて卵巣からエストロゲンが分泌されることになります。ですからエストロゲンの分泌を抑えたい場合は、LH-RHの作用を阻害するLH‐RHアゴニスト製剤が有効です。
     一方、卵巣機能が低下した閉経後は、脳下垂体から分泌された副腎皮質刺激ホルモンの刺激を受け、副腎からアンドロゲン(なんと男性ホルモン!)が作られます。このアンドロゲンが全身の脂肪細胞などにあるアロマターゼという酵素と結合して、エストロゲンに作り変えられるのです。ですから、アンドロゲンより先にアロマターゼと結合して働きを妨げるアロマターゼ阻害剤を使えば、エストロゲンの産生が抑えられるのです。
     なお、既に分泌されたエストロゲンの働きを妨げる抗エストロゲン剤は、閉経の前後を問わず使用されます。

    前立腺がんにはMAB療法も
     男性特有のがんでは、特に65歳以上の高齢の男性に多くみられる前立腺がんにホルモン療法が有効です。前立腺がんは今や患者数が4万人を超えて増加中とされ、男性なら誰しも他人事とは言えなさそうです。
     問題となるのはアンドロゲンですが、若い頃はその95%が精巣で作られるテストステロンで、5%が副腎由来とされています。かつては前立腺がんのホルモン療法として、テストステロンの分泌を止めるために精巣の摘除術が広く行われていました。が、代償も大きいですよね。そこでホルモン剤による薬物治療が大きく進歩したのです。
     具体的には、テストステロンの産生を抑えるLH‐RHアゴニスト製剤、アンドロゲン受容体に取り付いてアンドロゲンの作用を妨げる抗アンドロゲン剤、あるいは女性ホルモンを投与することでアンドロゲンの関与を抑えるエストロゲン製剤が、おおまかなホルモン剤の候補です。
     なかでもLH‐RHアゴニスト製剤は精巣摘除術と同等の効果が得られるため、第一の選択肢となります。作用の仕方はエストロゲンの時とほぼ同じ。脳の視床下部から分泌されるLH‐RHが受容体に結合するのを阻害します。結果として精巣からテストステロンが分泌されなくなるため、前立腺がんが縮小していくことになります。
     ただ、LH-RHアゴニスト製剤による治療を行っている状態でも、約5%を占める副腎からの分泌の影響で、前立腺内に活性化されたアンドロゲンが約40%も残っていることが分かってきました。しかも、前立腺がんにかかりやすい50~60代になると精巣からのテストステロンの分泌が減り、相対的に副腎性アンドロゲンのがんへの関与が高まってくるとされています。
     そこで、既に産生されたアンドロゲンの作用を最大限抑えるため、LH-RHアゴニスト製剤(または精巣摘除術)に抗アンドロゲン剤を併用する治療が行われています。最大アンドロゲン遮断(MAB)療法です。実は日本ではこのMAB療法を受けている人が最も多く、ホルモン療法を受けている人全体の6割に達しています。
     それでも一般に、早期がんならLH-RHアゴニスト単独で10年間は十分がんを抑えられるとも言われます。逆にこの段階でMAB療法を用いるとなれば、副作用が大きくなる懸念や医療費がかさむことなども考えておかねばならないでしょう。

    前立腺がんは治療しない場合もある?  実は前立腺がんは無治療で経過観察をすることもあります。これは高齢者に多いこともあり、一般的に他のがんと比べて進行が非常に緩やかなため。実際、前立腺がん以外の原因で亡くなった人を解剖したときに初めて微小な前立腺がんが発見されることも多いのです。「ラテントがん」(潜在がん)と呼ばれます。前立腺がん以外で亡くなった高齢者の約2割に前立腺がんがあるといわれています。つまり、治療してもしなくても命には関係のない前立腺がんがある、ということです。

    副作用と抵抗性の壁を乗り越えて。
     先にも少し触れましたが、ホルモン療法の利点としてよく上げられるのが、副作用が比較的軽いということです。細胞毒系の抗がん剤とは違って、かえって命に関わる事態に陥るような心配はありません。しかし副作用が全くない薬はありませんし、ましてホルモン療法は長期にわたりますから、多かれ少なかれ何らかの有害反応は覚悟しておくべきなのも確かです。
     ホルモン療法では、性ホルモンの分泌や働きを阻害するために、男女とも、更年期障害のような症状が出てきます。具体的には、のぼせやほてり、イライラや躁鬱、関節痛、眠気や頭重感などがあります。加えて女性では生理不順や膣乾燥が見られ、男性では勃起障害が起こります。乳房が女性のように黒ずんで大きくなったり、痛むこともあります。
     更年期障害に似た症状の中でも特に、LH-RHアゴニスト製剤(MAB療法含む)や女性ではアロマターゼ阻害剤などを使用した場合、骨密度の低下が懸念されます。個人差も大きいのですが、半年から1年程度で急激に低下して骨粗しょう症になる人もいます。問題は太ももの骨や背骨を骨折しやすくなること。骨折すると寝たきりになりやすく、肺炎等の合併症も増えて、寿命を縮めかねません。
     一方、抗ホルモン剤は性ホルモンと似たような作用も持っているのが興味深いところ。
     そのせいで治療の効果が下がってしまうこともあれば、コレステロール値を下げたり骨粗しょう症を予防するなど、他のホルモン剤とは全く逆の効用もあったりします。
     その他、女性特有のがんに男性ホルモン製剤を使ったり、男性特有のがんに女性ホルモン製剤を投与する場合、重大な副作用として、稀に血栓症や心臓の障害を起こすことがあります。そのためいずれも使用は減っています。
     こうしたホルモン剤の副作用については、ものによって治療薬もあります。しかし、その治療薬に副作用があることも珍しくありません。例えば勃起障害は飲み薬で治療できますが、心臓が悪い人や血圧が安定しない人が使用すると重篤な副作用の危険もあります。いずれにしても、まずは主治医に相談を。他の薬剤に変更することによって副作用が改善することもあります。副作用が出るからといって勝手に薬をやめることは、もちろんNG。特に飲み薬は規則正しく続けることが大事です。

    効かなくなる? でも道はある
     さらにホルモン療法のもう一つの問題が、「ホルモン抵抗性」です。長期間の継続によって、ホルモン剤が効かなくなる時期が訪れるのです。
     ホルモン依存性と非依存性のがん細胞があるという話をしましたが、もともと一つの腫瘍の中にどちらか一方だけが存在しているとはかぎりません。むしろ片方はわずかながら、両者が共存していることがほとんどです。ホルモン療法ではホルモン依存性の細胞が減ることでがんが小さくなりますが、やっかいなのが、わずかに残った非依存性細胞。じわじわ、しだいに増殖してくるのです。当然、そうして成長したがんにはホルモン療法が効きません。
     でも、諦めるのはまだ早い。ホルモン抵抗性に対する治療法も開発されてきています。
     例えば前立腺がんで、MAB療法を続けてきて抵抗性が現れたら抗アンドロゲン薬だけ中止する方法があります。いつの間にか抗アンドロゲン剤自体ががんを増殖させるようになることがあるためです。あるいは、あらかじめ抵抗性を回避するために、ある程度効果が上がったら治療を中断し、がんが大きくなったら治療、というのを繰り返すやり方(間欠的除去療法)もあります。経済的にも優れ、副作用の軽減にもつながります。
     また、ホルモン療法が効かなくなると、貧血、疲労、痛みといったがん特有の症状が現れ、患者のQOL(生活の質)は低下します。原因はがんによる炎症で、それを抑えるのにはステロイド薬治療が有効。そして前立腺がんであれば、最終手段とも言えるのが細胞毒系の抗がん剤。タキサン系抗がん剤の併用療法が多く試みられています。

    理解を深め不安を和らげて
     いずれにしても、ホルモン療法も人によって効き目や副作用に差があるもの。そうしたことを正しく理解し、自分の体の変化を把握するようにしてください。ホルモン療法中は気分の落ち込みを経験する方も多く、自分だけがおかしいのではないかとつい不安に駆られがちです。でも、それも薬の副作用だと認識しましょう。少しなりとも気持ちが落ち着き、体の症状が軽くなることもあるようです。
     ホルモン療法は長期間にわたります。生活上の留意点に気をつけ、それ以外は必要以上に力を入れずに、できるだけ普段どおりの生活を送るよう心がけてみてください。

    抗ホルモン剤でがんになる?  乳がんによく用いられる抗エストロゲン剤のタモキシフェンは、子宮では女性ホルモンのようにも働くため、子宮筋腫や子宮内膜がんのリスクが高まるとも言われています。といっても、実際には子宮内膜がんが発生する率はごくわずか。乳がんの再発率を抑える効果の方が圧倒的に大きいという研究結果が出ています。それでも定期的に婦人科検診を受けておくと安心です。もし不正出血などがある場合は、すぐに主治医に相談しましょう。

    ロハスメディカル:http://lohasmedical.jp/archives/2011/09/post_177.php?page=1  
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  • 2011年10月18日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    ロハスメディカル~抗がん剤なぜ効くのか1~



    病院内に設置されている無料の小冊子のロハスメディカル9月号の特集が
    『抗がん剤、なぜ効くのか2』でした
    2ということは1があったんだ。と思い、ネットで検索してみました
    9月号の特集は「ホルモン由来性のがん」についてでした

    抗がん剤は『効く・効かない』というのは医師によっても様々な意見があります
    抗がん剤を真正面から批判されている医師もいらっしゃいます
    ただ、遠隔転移をしていても抗がん剤で生還されている患者さんもいるので
    患者はそれを信じて辛い治療でも受けているのだと思います
    なので私自身は抗がん剤は効くと信じていたいです

    そして、健康だとなかなか病院に行くことがないかもしれませんが
    もしも機会があれば、お金も出さずに正しい医療情報が手に入る冊子は
    ぜひ手にとってみてください

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    がん特集、今回からいよいよ積極治療の内容に入ります。まずは抗がん剤。なかでも「細胞毒」と呼ばれる主流タイプのものについて見ていきます。何がどう「毒」なのか――がんを封じ込める戦略にも色々あるんです。
    監修/畠清彦 がん研究会有明病院化学療法科部長

    がんといえば手術、そんなイメージを抱いている人も多いはずです。
    しかし5月号でも申し上げたとおり、手術でエイヤっと丸ごと切り取ってしまえるのは、根治が望めるような、早期かつ原発部位に留まっている固形がんの場合のみです。
     白血病など全身性のがんや、固形がんでも血管やリンパ管を通じてがん細胞が全身へ回ってしまっている遠隔転移の場合、再発などの場合には、全身治療の抗がん剤投与で敵の細胞を減らす戦術を取ります。手術を選択できた場合でも、術前にがんを小さくすることを目的に抗がん剤を使用したり、術後の病理結果によっては再発防止のために化学療法を行うことも多いのです。放射線治療の効果を高めるために抗がん剤を併用することも珍しくありません。
     ですから、抗がん剤とその治療については、がんと診断された人なら誰しも知っておいた方がよさそうだというわけです。


    細胞毒 何をどうする?
     現在のところ世に出ている抗がん剤のほとんどは、いわゆる「細胞毒」といわれるものです。
     細胞が分裂する全過程あるいは特定の時期に投入され、細胞内の遺伝子に作用します。というのも、がん細胞は正常細胞よりはるかに急速に増殖・分裂するのが一般的で、分裂中の細胞では遺伝子のDNAがほどけてむき出しになっているため、不安定で外からの影響を受けやすい状態にあるからです。早い話、細胞分裂中の細胞は通常時より死にやすいのです。
     いきなり細胞分裂の話になってしまいましたが、細胞が分裂・増殖を繰り返していることは、皆さん学生時代に習ったかと思います。少々おさらいにお付き合いください。
     細胞分裂は大きく二つの段階に分けられます。前半は、染色体の複製です。染色体が担っている遺伝情報をそっくりそのまま、分裂してできる娘細胞に伝えるためです。染色体の実体はDNAという物質で(詳しくは2011年1月号「ゲノムきほんのき1」参照)、この時、DNAの量も染色体の数も倍になっています。そして後半では、倍になった染色体が「紡錘体」と呼ばれる細胞器官の働きによって正確に半分ずつ、細胞の両端に分けられます。そういえば教科書にそんな図が出ていましたよね。続いて細胞そのものが二つに分かれ、親細胞と全く同じDNAを持った娘細胞が二つ生まれるのです。

    がん封じ込め 作戦あれこれ。
     抗がん剤が、がん細胞に働きかける道筋(作用機序)には、いくつかのパターンがあり、現在100種類ほど使われている抗がん剤をグループ分けすることができます。代表的なものは、①アルキル化薬②代謝拮抗薬③白金製剤④トポイソメラーゼ阻害剤⑤抗がん性抗生物質⑥微小管作用薬といったところです。駆け足でご紹介していきます。

    ① アルキル化薬
     抗がん剤の中では最も早く開発されました。マスタードガスという毒ガス兵器の研究の産物という、禍転じて福となったような薬です。体内に投与されると、DNAに炭化水素基(アルキル基)をくっつけて結合します。そうしてニ本鎖のはずのDNAを一本鎖にしたり、二本鎖をほどけなくしてDNA複製を妨げ、がん細胞を破壊するのです。代表例は、世界中で最もよく使われている抗がん剤のシクロホスファミド(エンドキサン)。乳がんや肉腫はじめ、ほとんどのがんで使われます。ブスルファンも白血病等に対する造血幹細胞移植などによく用いられます。
    ② 代謝拮抗薬
     この薬剤の多くは、構造がDNAの材料(基質)と似ているのが特徴。そのためDNA複製に働く酵素が勘違いしてそちらに働きかけ、結果として複製が妨げられたり、あるいはそのまま取り込まれて異常なDNAを作ったりします。がん細胞の分裂は失敗し、腫瘍が大きくならないどころか、時には小さくもなります。国内外で最も使用頻度が高いのは5-フルオロウラシル(5-FU)で、消化器がんをはじめ様々ながんに用いられます。
     DNA複製に必要な葉酸の代謝を阻害することでDNA複製を妨げるものも、代謝拮抗薬の中に含まれます。代表は「葉酸代謝拮抗薬」のペメトレキセド(アリムタ)。肺がん治療になくてはなりません。
    ③ 白金製剤
     その名のとおり、薬の構造中に白金(プラチナ)が含まれています。投与されるとDNAの二本鎖に白金が結合して橋をかけ、複製を阻害し、結果としてがん細胞を自滅させます。代表例はシスプラチン(CDDP)、カルボプラチン。大腸がんなどには第三世代の白金製剤、オキサリプラチンが多用されています。
    ④ トポイソメラーゼ阻害剤
     トポイソメラーゼ阻害剤は、細胞分裂の際にDNAの切断と再結合を助けるトポイソメラーゼという酵素の働きを妨げて、切断部位に入り込み再結合を阻止します。DNAが切断されたままの状態となり、がん細胞は死滅します。代表例はイリノテカンやエトポシドといったところ、様々ながんに使われます。
    ⑤ 抗がん性抗生物質
     抗生物質は土壌に含まれる微生物から作られたものです。一般的な抗生物質が細菌を死滅させるのはご存じですよね。それと同じように、がん細胞を死滅させる抗生物質がこの薬剤です。作用の仕方には色々ありますが、たいていは、がん細胞のDNA合成を阻害したり、DNA鎖を切断するなどしてがん細胞を直接的に死に追いやります。よく使われるものとしては、ブレオマイシンやドキソルビシン(アドリアシン)等が挙げられます。
     さて、ここまでの5種類は、働き方はそれぞれでも、狙う相手はすべてDNAです。それに対し、次のグループはちょっと違います。
    ⑥ 微小管作用薬
     「微小管」は、先ほどおさらいした細胞分裂で染色体の分離に働く「紡錘体」を作っているもの。つまり「微小管作用薬」は微小管に結合して紡錘体の働きを阻害し、細胞分裂を妨げて細胞を自滅させるものです。代表薬にビンクリスチンやパクリタキセル(タキソール)があります。

    一気にたたくか、じっくりいくか
     抗がん剤の作用機序の違いによって、投与の仕方にも違いが出てきます。
     アルキル化薬と抗がん性抗生物質は「濃度依存性」の抗がん剤と言われ、がん細胞との接触時間は短くても、濃度が一定以上あれば効力が得られることが分かっています。マイトマイシンCなど、1回の点滴が30分程度で済むものだと、外来治療にも便利です。
     一方、代謝拮抗薬やトポイソメラーゼ阻害剤、微小管作用薬は、「時間依存性」の抗がん剤と言われ、低容量を長期間あるいは何度も投与することになります。というのも、これらの薬剤は細胞分裂周期の特定の時期に効果を発揮するのですが、すべてのがん細胞の周期が一致しているはずはありません。そこで薬剤を長時間、体内に存在させることが重要になるのです。

    進行抑制をめざして。
     現在、抗がん薬で完治する可能性のあるがんとして、小児の急性リンパ性白血病(5年生存率70%以上)、精巣がん(同60%以上)、悪性リンパ腫(非ホジキン型、40~60%)絨毛がん(必要に応じて手術も併用。ほぼ100%)などの報告があります。
     ただ、抗がん薬のみで根治できるがんの割合はまだ小さく、進行を遅らせるということが抗がん剤治療の主な目的になります。それが期待できるがんには、乳がん、卵巣がん、骨髄腫、腎がん、慢性骨髄性白血病など、色々あります。一方で、脳腫瘍、黒色腫、膵がん、肝がんなどには、残念ながら今のところ効果を期待できる薬が出ていません。
     また、進行を遅らせてくれる抗がん剤も、永遠に効くわけではなく、いつか効かなくなる日が来ます。「がんが薬剤耐性」を持つと言います。
     ある抗がん剤を使い続けていると、がん細胞自身が身を守るため抗酸化や解毒に関する遺伝子を発現させ、その薬の働きを抑える物質が細胞内に作られるようになるのです。がんに限らず、細菌に対する抗生物質や、農作物への害虫に対する農薬でも、同じようなことが起きるのをご存じかもしれません。
     抗がん剤治療を受けている人にとって、耐性が出てくるかこないかは非常に大きな問題です。抗がん剤治療を中止せざるを得ない最大の原因と言ってもよいでしょう。逆に、耐性が出現せずに体に負担が少ない抗がん剤治療を続けられるとしたら、かなり長く、がんと共存して生き続けることができます。薬剤耐性の詳しいメカニズムの分かっていない抗がん剤がほとんどですが、今後の研究に期待したいところです。

    異なる機序を上手に組み合わせ
     がんの種類によって比較的よく効く薬とそうでない薬があり、また後述する副作用の出方も異なります。そのため作用機序の異なる薬を組み合わせることで、最小の副作用で最大の効果を得ようと、二つ以上の抗がん薬を組み合わせて使うことも多くなっています。「多剤併用療法」と呼ばれます。
     例えば、肺がんには通常、白金製剤と他の種類の抗がん剤を組み合わせる併用療法が勧められます。また、増殖スピードが速くて不治の病のイメージが強かった小児がんも、20~30年前に比べて多剤併用療法が進歩した今では、約8割が治るようになっています。
     また、ある機序の薬に耐性が出てしまった場合も、異なる機序の薬に切り替えることで治療を継続できることがあります。
     投与の計画については、その時その時ごとに使う薬を選んでいくのでなく、あらかじめ長期的に決められ、それに従って行うようになっています。その計画を紙面に示したものをクリティカルパスと呼びます。薬の分量は多くの場合、体表面積あたりで決まっていて、患者さんの体重と身長から割り出します。

    効果と副作用は、常に一緒に考える。
     抗がん剤は飲み薬よりも、注射や点滴が多いのですが、これは適切な量をきっちり血中に投与するため。少なすぎると効かず、多すぎると有害で、その許容幅が狭いか、効くより先に有害となるからです。飲み薬だと人によって消化管での吸収率が違い、血中の濃度が違ってしまいます。そこで静脈注射等で全身に行き渡らせるのです。
     抗がん剤は、急速に分裂・増殖するがん細胞がよりダメージを受けるのを利用しています。ところが正常細胞でも消化管の粘膜細胞や、骨髄細胞(造血細胞)、毛包細胞などは分裂・増殖が盛んで即ダメージを受けます。このため、吐き気(悪心)や嘔吐、口内炎、胃腸障害、脱毛、貧血、免疫力低下といった副作用が起きます。
     消化管の粘膜細胞の場合、口内の粘膜がやられれば口内炎になり、胃腸の粘膜がやられると胃腸障害が出ます。同じように骨髄が破壊されると、赤血球の合成に支障が出て貧血になります。また、白血球やリンパ球が減少して免疫力が低下したり、血小板が減少して出血しやすくなります。これらは「血液毒性」とか「骨髄抑制」とも呼ばれます。さらに、毛包細胞がやられると毛が抜けます。なお、吐き気や嘔吐の仕組みは、実はまだよく分かっていません。
     こうした副作用が強すぎて、がんをたたけるほどの量の抗がん剤を投与できないことも多いのです。加えて、DNAを傷付けて正常細胞をがん化させてしまう可能性さえあります。
     しかし、最近では抗がん剤治療の副作用をかなり軽減できるようにもなってきました。例えば、吐き気に対しては制吐薬、白血球減少に対しては「顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)」という薬が使われたりします。免疫力が落ちて感染症の心配がある場合は、予防に抗生物質を使ったり、症状に応じて輸血や血小板輸血も施されます。副作用軽減を目的とした多剤併用も多く行われています。
     医療者側の意識も昔とはだいぶ変わりました。「副作用はつきものだから我慢してもらうしかない」という考えから、今では「患者さんが耐えられないような副作用は極力出さないように」というスタンスになっています。

    治療に入る前に、もう一度
     いずれにしても、チャンスにかけたいのであれば、自分の治療について十分に理解せず、副作用の虚像に脅えるのでは勿体ないです。
     副作用の種類や程度は、抗がん剤の種類や投与量、投与ルートによって違いますし、患者さんごとに大きく異なります。実際、同じ抗がん剤を同じ量、同じように投与しても、ある患者さんに出現した副作用が、ある患者さんには全く出ないことも珍しくありません。
     不安を軽減するには、まずよく知り、よく理解することが大切です。自分が受ける抗がん剤治療の副作用が、いつ、どのくらいの程度で出現し、どのくらい続く見込みか、どう対処したらよいのか――幸い、今では治療を受ける前に医師から説明を十分受けた上で、その治療を承諾したり選択したりできるインフォームドコンセント(説明と同意)が徹底されています。一度聞いて分からなければ、聞きたいことを箇条書きにメモしてもう一度予約を取ってもかまいません。不安な気持ちも併せて、担当医や看護師、薬剤師などにも素直に伝えてください。それでも迷うようであればセカンドオピニオンを利用して、担当医以外の専門医の意見を聞き、比較検討することもよいでしょう。
     これまで多くの人が様々な目標を持って抗がん剤治療を乗り越えてきました。治療を受ける前や受けながら、考えねばならないこともたくさんあるかと思います。それでも必要以上に気負わず、恐れず、医療者や家族と一緒に、がんと自分と、向き合っていってみてください。

    受けないという選択肢 根治の望めない抗がん剤治療については、今も様々な議論があります。がんの状態や患者の体力などにもよりますが、生存期間の延長があまり期待できないこともあるからです。確かに苦しい副作用が分かっているなら、余命は少し短くなっても緩和ケア中心の穏やかな生活を選ぶことも、人生の選択肢の一つと言えるでしょう。ただ近年は、分子標的薬(10月号で特集します)の開発や使用方法の研究が進んできました。近い将来、抗がん剤治療への見方が大きく変わる日も来るかもしれません。

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  • 2011年10月17日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん

    死ぬ瞬間―死とその過程について



    エリザベス・キューブラー=ロスの『死ぬ瞬間』。
    名前はとても驚くけれど、内容はとても理解できました
    この本は1960年代にアメリカで『末期がん』などの死を宣告された患者が
    それをどう考えていくかというものを200名以上の患者にインタビューすることで
    わかっていったものをまとめたものです

    患者には、否認・怒り・取引・抑うつ・受容という段階を踏むというのがわかっていきました

    否認:自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑う段階である。
    怒り:なぜ自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階である。
    取引:なんとか死なずにすむように取引をしようと試みる段階である。
       何かにすがろうという心理状態である。
    抑うつ:なにもできなくなる段階である。
    受容:最終的に自分が死に行くことを受け入れる段階である。

    ただ、すべての患者がこのような経過をたどるわけではないとも書いています
    患者の中には、自分自身が病気や自分の状態を受け入れられないというのもあるけれど
    家族との関わりで受け入れていけないというのもあると思いました
    家族が『頑張ってくれ』という気持ちで患者に接していると、患者も『頑張りたい』と思う
    でも、実際は治らないという現実がある
    その現実をお互いが見つめることができると病気の話や現実的な事が言えるけれど
    どちらかが認められないと、お互いがつらい思いをしなくてはいけなくなるのだと思いました

    去年、1年目の検診の時に偶然話をした男性が、そうでした
    末期がんと言われた奥さんに自分は一生懸命来年の事を考えてくれという。でも妻はそんな先の事はわからないという。なぜだろう?なぜ、もっと前向きに考えてくれないのだろう?と思った。と話してくれました
    私は、私は患者だから思うけれど、患者にとって大切なのは「来年」ではなく「今、この瞬間」なのだと
    でも、だからといって奥さんはその気持ちはわかっていたと思いますよと話しました
    その男性は、泣きながら私に「ありがとう」と言ってくれました

    私は奥さんではありません
    だから、奥さんが本当のところどう考えていたのかはわかりません
    でも、体験者である私が話をすることに意味がある気がしました
    奥さんはもう戻ってはこれません。
    その人よりは、生きている人を大切にしてあげたいと思います
    その旦那さんが奥さんを思っていた気持ちに嘘はないんだし・・・

    患者にとっては、自分自身の死は「未来を失うこと」です
    だから「ああしたかったな」っていう「未練」だと思います
    でも、家族にとっては「ああしてあげたかった」という「後悔」なのだと思います
    だからこそ、この本は患者だけでなく家族に読んでもらいたいと思いました

    「他人と過去はかえれない」でも「自分と未来はかえられる」
    例え、その時間が短くてもです

    自分の命の期限を見てしまった人は、その時間の中を必死に生きています
    そして、その中で色々な言葉を残してくれます
    私がブログを書き始めた理由は、末期がんの方の「1日でも長く生きていたい」という言葉でした
    「なぜ、私ではなく彼女なのだろう?」そして、彼女が私に残してくれた言葉を伝えたいと思いました
    私のブログの中で彼女が生きているんだって思います  
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  • 2011年10月10日 Posted by すもも at 00:00Comments(0)読んだ本・・・がん