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悼む人

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『悼む人』・・・・・天童荒太

『誰に愛されていたんでしょうか。誰を愛していたんでしょう。
どんなことをして、人に感謝されたことがあったでしょうか』

主人公の静人が亡くなった人のことを尋ねるときに聞く言葉です

がんで死ぬというのは、すぐに亡くなる時もありますが時間をかけてゆっくりと亡くなる時もあります
転移する場所によっては痛い痛いと亡くなる場合もあるし、手術後も痛いので患者は「痛い、痛い」と言っている気がします。

私は「がん患者」になったからかも知れませんが、できれば自分の最期の姿は覚えておいて欲しくないって思っています。

手術後1年くらいしてから医師から「再発の可能性」と言われました。その時に色々な事を考えて、もし私が再発して亡くなるとしたら、その時には昔の男や男友達にきてもらって私の枕元で文句を言って欲しいなって思った。「すももにはえらいめにあわされた」でもいいし「めんどくさい奴だった」でもいい。とりあえず今まで言えなかった文句を言ってくれたらいいのになって。その時には、別れてから1度も会ってない旦那の行方も捜してもらって・・・なんて妄想をしていました。

辛いや痛いという言葉ややせ細ってしまった姿があまりにも印象に残ってしまうと、それまでのその人の姿を忘れてしまう気がします。でも、それはほんの一時の事だと思います。
本来の私を覚えておいて欲しいというのが、患者の願いだと思った。

この本のすごいところは、作家さんは生きているし、がん患者でもないのに患者の気持ちがとってもわかっている気がしました。それが作家だから。と言うのは簡単だけれど・・・読んでいてほとんど違和感を感じませんでした。そして『誰に愛されていたんでしょうか。誰を愛していたんでしょう』というのを読んで家族のいない私は少し寂しく感じました。でも、最期を読んでなんだかほっとしました。

きっと命が繋がっているというのは、自分から子どもへだけじゃないのかもしれないって思えた話でした。

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    2013年06月01日 Posted byすもも at 00:00 │Comments(0)読んだ本・・・その他

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