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わが家の母はビョーキです

わが家の母はビョーキです

わが家の母はビョーキです

これは、精神病にかかったお母さんを持つ、著者の実話を描いたコミックエッセイです。
近年、「うつ」という言葉が一般に浸透したことで、実は、とても多くの人が心の病気で悩んでいるということが明らかになりました。著者のお母さんもその一人……。ただし、診断の結果は「うつ」ではなく、うつに次いで多い「統合失調症(トーシツ)」です。
昔は「精神分裂病」と言われていたこの病気、なんと100人に1人の割合で発症しています。これはがん患者と同じ割合です。でも、どうしてあんまり聞いたことがないのでしょうか。その裏には家族のやりきれない想いがあったのです……。
本書では「統合失調症」とはどんな病気なのか、どうやって回復するのか、どんな思いを抱いているのか、そして当事者とどう関わっていけばいいのかを家族の視点から描きました。また、看病されるお母さんと看病する娘の、心と心のぶつかり合い、通じ合いを深く鮮明に描いた作品にもなっています。
「ときにはイヤになるけれど、今では幸せな生活を送っています」。そんな著者の姿が、間違いなく胸を打つ一冊です。

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お母さんが自殺未遂をしようとした時に、まだ小さかった娘さんが「死んじゃヤダ~~、ユキがゴハン作ってあげるから!!」「何もしないでも生きててくれるだけでいいの~~」と言うシーンがあります
それに対してお母さんが「お母さんにはユキちゃんがいるんだもんね」と娘のために生きていかなきゃと思ったそうです

このマンガを読んでいて思ったのは、病気に対する自分自身の無知さもあるけれど、100人に1人という発症率ですが、統合失調症は脳の病気で回復が望める病気であるということをあまりにも知らないということでした

お母さんが統合失調症という環境の中で、守って欲しいはずの子供が「お母さんを守らなきゃ」と言って支えていく。本の中では子供だったユキさんが、色々な問題に対処しながらお母さんと共に生きていく姿が書かれています

入院するにしても、病院にかかるにも、生活するにもお金がかかります
人が追い詰められていく要因の1つに金銭問題があるように思います
それから、相談できる相手がいること。社会的に受け入れてくれる場があること。が大切な気がします
それらのことに、どのようにしたらいいかなどもかかれています

うつ病や統合失調症の家族を抱えた人と話す事がありますが、医師でない家族が入院を決意するのは難しいことだと思いました
以前、お母さんが自殺未遂をして措置入院をしたという娘さんがいましたが、彼女は私と同じ「がん患者」でした。その事を悩んだお母さんが、将来を悲観して自殺未遂をしたそうです
いつも明るい彼女からは、想像もできない出来事でしたが少しずつ、でも確実に状況は悪くなっていったそうです。でも、その日がくるまではわからなかったそうです
幸い、お母さんは発見が早く、またいいカウンセラーの先生とめぐり会えて今は、状況がよくなっているそうです

がん患者でも問題になっていますが、治療を必要としているのに、治療を受けない医療ネグレストをいう状態の人が沢山います。特に精神的な問題を抱えた人は、自分自身で判断する冷静さを持って居なかったりするので悪化してから病院にかかる人も多いそうです。また、薬を飲むと仕事ができないなどの理由で勝手に薬を止めてしまう人もいます

この本の中でも、お母さんが薬を飲まなかったりして状態が悪化していったりします

本の最後には、ユキさんが結婚した相手がとても楽天家の人で「まっ、いいんじゃない」と明るく言ってくれることでお母さんと娘さんの関係も良い方向に向っていっていると書かれていました
旦那さんや地域相談センターのスタッフさんという第3者が入ることで、お互いに相手の見方が変化していったからかなと思いました
どうしても自分と相手だけだとイライラしたり、許せないと思っていたことが「まっ、いいんじゃない」と言われることで気持ちが軽くなることってある気がします

どんな時でも自分1人で悩まないこと。って大切な気がしました
そして「ちょっと無理かな」と思ったら相手との距離をとってみるのもいいのかもと思います

不思議なもので「がん」になってから色々な病気を抱えた人やその家族の方と話すことが多くなりました
正直、私にはわからないことが多いけれどこうやって本を読んだりすることで「こういう辛さがあるんだ」「ここは似ているな」など色々なことを知るようになりました

難しい専門書なら読むのも大変だと思うけれど、マンガならすぐに読めるしいいなと思いました

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    2012年05月12日 Posted byすもも at 00:00 │読んだ本・・・心理学


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